Description of a work (作品の解説)
2009/1/30掲載
Work figure (作品図)
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『レヴェヌマン』紙を読むルイ=オーギュスト・セザンヌ(画家の父)

 (Porrtrait de Louis-Auguste Cézanne, pèpe de I'artiste) 1866年
200×120cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ポール・セザンヌ初期の最も重要な作品のひとつ『『レヴェヌマン』紙を読むルイ=オーギュスト・セザンヌ(画家の父)』。1866年、画家が27歳の時に完成させられた本作は、セザンヌが画家になることを最も反対していた保守的な銀行家である父ルイ=オーギュスト・セザンヌの肖像画である。画面のほぼ中央へ赤い花柄の入った大きな椅子に座りながら真正面を向く父ルイ=オーギュストが威圧的にすら感じられるほど威厳に満ちた姿で配されており、手にする革新的論調の新聞『レヴェヌマン』紙へ視線を落としている。実際には保守的な父ルイ=オーギュストは『レヴェヌマン』紙を嫌悪しており、一般的には本作に描かれる父ルイ=オーギュストの姿には自身(セザンヌ)を認めない父に対する強烈なアイロニー(皮肉)が込められていると解釈されているが、反対にセザンヌが父ルイ=オーギュストに認められたいとの願望の表れとする説も有力であり、父ルイ=オーギュストの頭上(背後の壁)に掛けられるセザンヌ自身の静物画作品からも、それは良く理解することができる。さらにはこの頃、『レヴェヌマン』紙へ美術評論を掲載し始めた同郷の友人エミール・ゾラへの称賛と羨望を見出す研究者も少なくない。また本作の描写手法に注目しても、やや重々しさを感じさせる光と陰影の対比の強い褐色的な対象描写や、父ルイ=オーギュストに落ちる深い陰による独特の心理的内面表現には、セザンヌと父ルイ=オーギュストとの複雑な関係性(※父ルイ=オーギュストはセザンヌが画家になることには反対していたが、同時に生活における援助もおこなっている)を見出すことができる。


【全体図】
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深い影が顔に落ちる画家の父ルイ=オーギュスト・セザンヌ。画面のほぼ中央へ赤い花柄の入った大きな椅子に座りながら真正面を向く父ルイ=オーギュストが威圧的にすら感じられるほど威厳に満ちた姿で配されており、手にする革新的論調の新聞『レヴェヌマン』紙へ視線を落としている。



【画家の父ルイ=オーギュストの姿】
革新的論調の新聞『レヴェヌマン』紙。実際には保守的な父ルイ=オーギュストは『レヴェヌマン』紙を嫌悪しており、一般的には本作に描かれる父の姿には自身(セザンヌ)を認めない父に対する強烈なアイロニー(皮肉)が込められていると解釈されているが、反対にセザンヌが父に認められたいとの願望の表れとする説も有力である。



【革新的論調の新聞『レヴェヌマン』紙】
父の背後に掛けられた自身の静物画作品。やや重々しさを感じさせる光と陰影の対比の強い褐色的な対象描写や、父ルイ=オーギュストに落ちる深い陰による独特の心理的内面表現には、セザンヌと父との複雑な関係性を見出すことができる。



【父の背後に掛けられた自身の静物画】

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