Description of a work (作品の解説)
2009/04/28掲載
Work figure (作品図)
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ギュスターヴ・ジェフロワの肖像


(Portrait de Gustave Geffroy) 1895-96年
110×89cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の大画家ポール・セザンヌを代表する肖像画作品『ギュスターヴ・ジェフロワの肖像』。故郷であるエクスへと制作拠点を移した1880年代以降の画家としては珍しく、パリで制作された本作は、彫刻家ロダンやクロード・モネの友人であり、熱心なセザンヌの共鳴者でもあったジャーナリスト兼文筆家(そして美術批評家としても知られる)≪ギュスターヴ・ジェフロワ≫を描いた肖像画作品である。画面中央へと配されるほぼ正面から捉えられたギュスターヴ・ジェフロワは椅子に腰掛け、仕事机に両手を乗せながら(執筆中であろうか)仮綴本を数冊広げている。画面の左側には薔薇が挿された花瓶とロダンの彫刻が置かれており、ギュスターヴ・ジェフロワとロダンの友好的な関係を示している。さらにギュスターヴ・ジェフロワの背後には本棚へ秩序正しく並べられた幾数もの本が置かれており、文筆家としての知識の豊かさを象徴的に表している。本作で最も注目すべき点は、各構成要素による画面の連帯的統一性である。本作を観る者はまず手前(画面下部)の仕事机に置かれる書物や小物に視線を向け、そこから両手をハの字に広げた安定的なギュスターヴ・ジェフロワの姿態と顔面へ、そして斜めに配された(赤い背凭れが印象的な)椅子を経由して背後の本棚へと視線を動かしていく。この自然的な視線の誘導こそセザンヌが本作へ意図的に込めた仕掛けであり、垂直が強調された画家独特の堅牢性と共に観る者を感嘆させる。


【全体図】
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ほぼ正面から捉えられるギュスターヴ・ジェフロワ。1880年代以降の画家としては珍しく、パリで制作された本作は、彫刻家ロダンやクロード・モネの友人であり、熱心なセザンヌの共鳴者でもあったジャーナリスト兼文筆家≪ギュスターヴ・ジェフロワ≫を描いた肖像画作品である。



【ギュスターヴ・ジェフロワ氏の表情】
ロダンによる小像と花瓶に入れられた薔薇。画面の左側には薔薇が挿された花瓶とロダンの彫刻が置かれており、ギュスターヴ・ジェフロワとロダンの友好的な関係を示しているほか、さらにギュスターヴ・ジェフロワの背後には本棚へ秩序正しく並べられた幾数もの本が置かれており、文筆家としての知識の豊かさを象徴的に表している。



【ロダンによる小像と花瓶の薔薇】
秩序正しく並べられる書物。本作を観る者はまず手前の仕事机に置かれる書物や小物に視線を向け、そこから両手をハの字に広げた安定的なギュスターヴ・ジェフロワの姿態と顔面へ、そして斜めに配された椅子を経由して背後の本棚へと視線を動かしていく。



【秩序正しく並べられる書物】

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