Description of a work (作品の解説)
2009/04/06掲載
Work figure (作品図)
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林檎の籠(リンゴのバスケット)


(Corbeille de pommes) 1890-94年頃
65.5×81.3cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

後期印象派の巨匠ポール・セザンヌの造形的探求が示される最良の作品のひとつ『林檎の籠(リンゴのバスケット)』。現在、シカゴ美術研究所(シカゴ・アート・インスティテュート。シカゴ美術館とも呼称される)に所蔵される本作は、四角い木製のテーブルの上に置かれた林檎とバスケット、白布、ワイン瓶、そして皿に盛られたビスケットを描いた静物画作品である。テーブル手前には無造作的に扇形で広げられた白布が配され、その上には、やはりこれも無造作的に完熟的な林檎が置かれている。その奥へは左側へは無数の林檎が入れられたバスケット(籠)、中央にはワイン瓶、右側には皿の上へ秩序正しく積み上げられたビスケットが配されている。本作で最も注目すべき点は、名称ともなっている林檎の入るバスケットの造形にある。視覚的には明らかに傾き過ぎに描写されるバスケットであるが、これは画面全体の空間的曖昧性を回避させている効果を生み出しており、非自然的な安定性を空間へ齎している。またこの描写によってバスケットの中に入れられる林檎が観る者に対して明確に見せるよう施された処理であり、これらの点から本作はセザンヌの静物画における模範的な作例とも言えよう。また各静物が置かれる木製のテーブルも画面の左右で造形が大きく異なっており、画家の造形に対する理解と探求的挑戦の痕跡を見出すことができる。


【全体図】
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籠の中に入れられる無数の林檎。現在、シカゴ美術研究所(シカゴ・アート・インスティテュート。シカゴ美術館とも呼称される)に所蔵される本作は、四角い木製のテーブルの上に置かれた林檎とバスケット、白布、ワイン瓶、そして皿に盛られたビスケットを描いた静物画作品である。



【籠の中に入れられる無数の林檎】
無造作的に配される白布と林檎。テーブル手前には無造作的に扇形で広げられた白布と完熟的な林檎が置かれている。その奥へは左側へは無数の林檎が入れられたバスケット(籠)、中央にはワイン瓶、右側には皿の上へ秩序正しく積み上げられたビスケットが配されている。



【無造作的に配される白布と林檎】
画面中央へ配されたやや斜めに傾くワイン瓶。視覚的には明らかに傾き過ぎに描写されるバスケットであるが、これは画面全体の空間的曖昧性を回避させている効果を生み出しており、非自然的な安定性を空間へ齎している点などから本作はセザンヌの静物画における模範的な作例とも言えよう。



【中央へ配されたやや斜めに傾く瓶】

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