Description of a work (作品の解説)
2007/05/12掲載
Work figure (作品図)
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家族の集い

 (Réunion de famille) 1867年
152×227cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

初期の印象派を代表する画家フレデリック・バジールの傑作『家族の集い』。本作はバジール家が所有する故郷モリエンペ郊外の田舎風の屋敷≪メリック≫に集うバジール家一族を集団的肖像画として描いた作品で、≪集団肖像画≫という伝統と≪戸外制作≫という印象主義者らの画家たちが提唱した新たなる制作様式との、(バジールなりの)表現的融合が試みられている。そのため本作では印象主義的表現に偏らず、ややアカデミックな表現や画題展開など画家の後期の様式的特長が良く示された作品のひとつとしても知られている。おそらくサロン出品を目的としたために、152×227cmと巨大な画面で制作された本作は、画家になることをあまり快く考えていなかった両親を始めとする一族の人間に対し、己が歩み道の正しさを主張するものとも捉えることができ、それは、画面左端の画家の父の姿の隣に描かれるバジール本人の姿からも窺い知ることができる。またこれはサロン出品時に自らの姿を社会に示す目的があったとも推測されている。遠景に一族が所有する広大なワイン用のブドウ園が見える本作の独特な感覚によって表現される色彩は、写実主義の巨匠ギュスターヴ・クールベの代表作『出会い、こんにちはクールベさん』での、穏やかな光の写実的描写の中に示される冷感的色彩に由来しており、南仏の強烈な陽光と、その中に潜む冷謐で繊細な陰影が織成す、様々な色彩の変化や視覚的効果を捉えた表現は、同時代に共に制作した(モネルノワールなど)友人らの作品とは明らかに異なり、立体的な写実主義的特徴が示されている。


【全体図】
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観る者と対峙する画家の家族。本作はバジール家が所有する故郷モリエンペ郊外の田舎風の屋敷≪メリック≫に集うバジール家一族を集団的肖像画として描いた作品で、伝統と新たなる制作様式との、(画家なりの)表現的融合が試みられている。



【観る者と対峙する画家の家族】
印象主義的表現に偏らない、ややアカデミックな表現。南仏の強烈な陽光と、冷謐で繊細な陰影が織成す、様々な色彩の変化や視覚的効果を捉えた表現は、同時代に共に制作した(モネルノワールなど)友人らの作品とは明らかに異なり、立体的な写実主義的特徴が示されている。



【ややアカデミックな表現手法】
画面左端に描かれるバジール本人とその隣の画家の父の姿。本作は、画家になることをあまり快く考えていなかった両親を始めとする一族の人間に対し、己が歩み道の正しさを主張するものとも捉えることができ、それは、画面左端の画家の父の姿の隣に描かれるバジール本人の姿からも窺い知ることができる。



【バジール本人とその隣の画家の父】

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