Description of a work (作品の解説)
2011/03/16掲載
Work figure (作品図)
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聖痕を受ける聖フランチェスコ


(Stimmate di san Francesco) 1290-1300年代
312×162cm | テンペラ・板 | ルーヴル美術館(パリ)

14世紀イタリアの巨匠ジョット・ディ・ボンドーネとその工房の代表的作品のひとつ『聖痕を受ける聖フランチェスコ』。かつてはピサのサン・フランチェスコ大聖堂の主祭壇画として制作され、同地のサンタ・ニッコロ聖堂(と墓地=カンポサント)を経て、現在はパリのルーヴル美術館に所蔵される本作は、裕福なアッシジ商人の放蕩息子でありながら信仰に目覚め、旅の途中で出会った三人の乙女の幻から清貧、純潔、貞淑を旨とする聖フランシスコ会を創始した名高き聖人≪聖フランチェスコ≫の伝説を主題とした作品で、同主題を描いた著名なアッシジ聖堂身廊の28面フレスコ画からの構図的引用がプレデッラ部分に認められる。本作は聖フランチェスコが晩年、50日間の断食後に体験した脱魂時に有翼(6翼)のセラフィムを通じて主イエスと同じ聖痕を受けたとされる逸話の場面が描かれており、画面中央やや左側へセラフィムの登場に驚きの仕草を示す聖フランチェスコが、その対角線上となる画面右上には主イエスを連想させる6翼のセラフィムが己の両手足と脇腹に刻まれる聖痕を聖人へ授ける(印す)姿が描き込まれている。本作の明確で力強い輪郭線描写や登場人物の量塊感、構成要素の絶妙な配置などには画家の主題(又は絵画)に対する現実的傾向がよく示されており、同時期の画家の様式を研究する上でも重要視されている。なお主題図部分に関してはジョット自身が主要を手がけているのに対し、下部のプレデッラ部分(左から『イノセント3世の夢』『教皇による会則の許可』『小鳥への説教』)は弟子の手によると考えられている。


【全体図】
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聖痕を受ける聖フランチェスコ。本作は、裕福なアッシジ商人の放蕩息子でありながら信仰に目覚め、旅の途中で出会った三人の乙女の幻から清貧、純潔、貞淑を旨とする聖フランシスコ会を創始した名高き聖人≪聖フランチェスコ≫の伝説を主題とした作品である。



【聖痕を受ける聖フランチェスコ】
主イエスを連想させる6翼のセラフィム。本作は聖フランチェスコが晩年、50日間の断食後に体験した脱魂時に有翼(6翼)のセラフィムを通じて主イエスと同じ聖痕を受けたとされる逸話の場面が描かれている。



【6翼のセラフィム】
小鳥への説教場面。本作の明確で力強い輪郭線描写や登場人物の量塊感、構成要素の絶妙な配置などには画家の主題(又は絵画)に対する現実的傾向がよく示されており、同時期の画家の様式を研究する上でも重要視されている。



【小鳥への説教場面】

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