Description of a work (作品の解説)
2010/12/24掲載
Work figure (作品図)
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金門での出会い(スクロヴェーニ礼拝堂壁画連作)


(Incontro Porta Aurea) 1304-1306年
200×185cm | フレスコ | スクロヴェーニ礼拝堂(パドヴァ)

イタリア絵画の始祖的存在ジョット・ディ・ボンドーネの重要な基準作であり、同時に画家の最高傑作であるスクロヴェーニ礼拝堂壁画連作より『金門での出会い(黄金門の出会い)』。ダンテの神曲にも登場するパドヴァの高利貸しレジナルドの息子エンリコ・スクロヴェーニが建立したサンタ・マリア・アヌンツィアータ聖堂(スクロヴェーニ礼拝堂、アレーナ礼拝堂とも呼称されている)の装飾画として、同氏からの依頼により制作された壁画連作群(ヨアキム伝、聖母マリア伝、キリストの生涯、善徳の寓意像、悪徳の寓意像、最後の審判)のひとつである本作は、右壁上段に全6点にて構成されるヨアキム伝の中の第6場面≪金門での出会い≫を主題に描いた作品である。本主題≪金門での出会い≫は、長い間、子供を授かることがなかったエルサレムの老夫婦ヨアキムとアンナの話で、夫ヨアキムが神への供物の羊を捧げに神殿へと赴くものの、神殿から子供がいないことを理由に追い返され、途方に暮れた後、羊飼いらの住まう荒野(山)で引き篭もるが、老夫婦の切なる願いを受け入れた父なる神の命により大天使ガブリエルが家で祈りを捧げる妻アンナの下を訪れへ子供(後の聖母マリア)を懐胎することを告げ、またヨアキムもその夢を見て急ぎエルサレムへと帰還し、同地の市門のひとつ≪黄金門≫で両者が再会と受胎を喜び、抱擁・接吻し合う場面である。画面左側に配される夫ヨアキムと妻アンナは金門の前の小橋の上で再会と子供の懐胎を抱擁と接吻によって喜び合っている。またその背後では妻アンナに付き添う女性らが柔らかい微笑みを浮かべている。画面に対して密度の高い人物・建物などの凝集的要素構成や、柔和的な造形、宗教画としての威厳性と絵画的な優美性の高度な融合、人間性に溢れた登場人物らの感情描写などは当時のジョットの卓越した表現様式の典型例であり、今も人々に感動を与え続けるほどの出来栄えである。なお≪金門≫は旧約聖書に登場する預言者エゼキエルが預言した≪閉ざされた門≫と同一視され、このことから聖母マリアの処女性へと解釈されるようになった。


【全体図】
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再会と懐胎を喜び合う夫ヨアキムと妻アンナ。エンリコ・スクロヴェーニが建立したサンタ・マリア・アヌンツィアータ聖堂(アレーナ礼拝堂)の装飾画として、同氏からの依頼により制作された壁画連作群のひとつである本作は、右壁上段に全6点にて構成されるヨアキム伝の中の第6場面≪金門での出会い≫を主題に描いた作品である。



【喜び合う夫ヨアキムと妻アンナ】
笑みを浮かべながら老夫婦へ視線を向ける女性たち。本主題≪金門での出会い≫は、長い間、子供を授かることがなかったエルサレムの老夫婦ヨアキムとアンナが、大天使ガブリエルより子供(後の聖母マリア)の懐胎を告げられ、同地の市門のひとつ≪黄金門≫で両者が再会と受胎を喜び、抱擁・接吻し合う場面である。



【老夫婦へ視線を向ける女性たち】
老夫婦が出会ったエルサレムの金門。≪金門≫は旧約聖書に登場する預言者エゼキエルが預言した≪閉ざされた門≫と同一視され、このことから聖母マリアの処女性へと解釈されるようになった。



【老夫婦が出会ったエルサレムの金門】
瑞々しく印象的な背景の青色。画面に対して密度の高い人物・建物などの凝集的要素構成や、柔和的な造形、宗教画としての威厳性と絵画的な優美性の高度な融合、人間性に溢れた登場人物らの感情描写などは当時のジョットの卓越した表現様式の典型例であり、画家の基準作として特に重要視されている。



【瑞々しく印象的な背景の青色】

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