Description of a work (作品の解説)
2008/04/29掲載
Work figure (作品図)
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護符(タリスマン、ポン・タヴェンの愛の森)

 (Le Talisman)
1888年 | 27×21.5cm | 油彩・板 | オルセー美術館(パリ)

フランス象徴主義を代表する画家であり、ナビ派の始祖のひとりでもあるポール・セリュジエが手がけた、同派を象徴する傑作中の傑作『護符(タリスマン)』。本作はフランス北西部ブルターニュ地方の小さな村ポン・タヴェンを流れるアヴェン川沿いの、≪ポン・タヴェンの愛の森≫と呼ばれた風景を描いた作品で、同地でセリュジエが絵画を制作していた時に、総合主義サンテティスムの創始者(のひとり)であり、画家が称賛の声を惜しまなかったポール・ゴーギャンの助言を受け完成したとされている。本作に描かれる≪ポン・タヴェンの愛の森≫の風景は、総合主義で用いられたクロワゾニスムでは存在している輪郭線すら無く、まさに色面のみによって画面が構成されており、その表現はほぼ完全に抽象化されている。ゴーギャンの指導によって、樹木は黄色、樹木に茂る葉は赤色、射し込む陽光によって落ちる陰影は青色で表現される本作の、それまでの絵画には無い全く新しい単純性と平面性、幾何学的にすら感じられる類稀な抽象性は、既存の絵画表現に限界と不満を感じ、新しい表現を追い求めてブルターニュへと赴いたポール・セリュジエだからこそ生み出すことができた革新的表現であり、その(既存の絵画概念に対する)破壊的な革新性故、未完的かつ小作でありながらも本作は他のポン・タヴェン派の画家たちから熱烈な支持を得ることになり、その後のナビ派の結成において道標的な役割を果たした。なお本作の名称は制作当初『ポン・タヴェンの愛の森』と付けられていたものの、ナビ派の画家たちが本作を同派の護符として扱った為、『護符(タリスマン)』と呼称されるようになった。


【全体図】
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色面のみによって構成される画面。ナビ派の象徴的作品である本作はフランス北西部ブルターニュ地方の小さな村ポン・タヴェンを流れるアヴェン川沿いの、≪ポン・タヴェンの愛の森≫と呼ばれた風景を描いた作品である。



【色面のみによって構成される画面】
空間的奥行きを全く感じさせない平面性。セリュジエが本作を制作していた時に、総合主義サンテティスムの創始者(のひとり)であり、画家が称賛の声を惜しまなかったポール・ゴーギャンの助言を受け完成したとされている。



【空間的奥行きを感じさせない平面性】
幾何学的にすら感じられる類稀な抽象性。本作のそれまでの絵画には無い全く新しい単純性と平面性、幾何学的にすら感じられる類稀な抽象性は、他のポン・タヴェン派の画家たちから熱烈な支持を得ることになり、その後のナビ派の結成において道標的な役割を果たした。



【幾何学的にすら感じられる抽象性】

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