Description of a work (作品の解説)
2009/12/21掲載
Work figure (作品図)
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不思議な花(子供の顔をした花)


(Fleur étrange) 1880年
40.1×33.3cm | 木炭・紙 | シカゴ美術研究所

フランス象徴主義の画家オディロン・ルドン黒の時代を代表する木炭画作品『不思議な花(子供の顔をした花)』。1880年に制作され、1882年にパリで開催された画家の個展へも出品された本作は、荒涼とした大地に唯一輪、根を下ろした子供の顔を持つ花を描いた幻想性が際立つ作品である。画面中央よりやや左側に配される一輪の花は細く弱々しい茎を大地に下ろしているが、その先端には細い茎に似つかわしく無いほど大きな花を咲かせており、その重みで茎は弓のように撓っている。まるで闇夜に浮かぶ満月のような花には幼い子供の顔が描き込まれているが、子供らしい笑みすら浮かべないこの花の表情には、自らが置かれる厳しい現実に対する諦念的な感情を見出すことができ、さらには孤独な状況に置かれた自身と外界(又は他者)との間の超え難い絶対的な心の遮蔽すら感じられる。幼少期のルドンは本作の花にも通じる孤独の中で過ごしてきたことが知られており、本作にはそのようなルドンの内面的経験が表れているとも考えることができる。また本作の表現手法に注目しても、一切の色彩を持たないモノクロームの世界による形状・造形描写のみで表現された独特の暗示的象徴性や神秘性などは黒の時代のルドンの作品の中でも特に優れた出来栄えを示しており、今も人々の心に強い印象を与える。


【全体図】
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虚無的で諦念的な表情を浮かべる花。子供らしい笑みすら浮かべないこの花の表情には、自らが置かれる厳しい現実に対する諦念的な感情を見出すことができ、さらには孤独な状況に置かれた自身と外界(又は他者)との間の超え難い絶対的な心の遮蔽すら感じられる。



【諦念的な表情を浮かべる花】
緩やかな曲線を描く葉部分。1882年にパリで開催された画家の個展へも出品された本作は、荒涼とした大地に唯一輪、根を下ろした子供の顔を持つ花を描いた幻想性が際立つ作品である。



【緩やかな曲線を描く葉部分】
生命を感じさせない荒涼とした大地。一切の色彩を持たないモノクロームの世界による形状・造形描写のみで表現された独特の暗示的象徴性や神秘性などは黒の時代のルドンの作品の中でも特に優れた出来栄えを示しており、今も人々の心に強い印象を与える。



【荒涼とした大地】

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