Description of a work (作品の解説)
2010/09/22掲載
Work figure (作品図)
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テスピオスの娘たち(テスピウスの娘たち)


 (Les fille de Thespius) 1853-83年頃
258×255cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

19世紀フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローを代表する神話的主題作品のひとつ『テスピオスの娘たち(テスピウスの娘たち)』。モローが師シャセリオーの作品に強く感銘し、1853年から制作が開始され、一時期の中断を経て1882年から再着手し翌1883年頃に完成となった本作は、古代ギリシア神話に登場する伝説的英雄≪ヘラクレス≫の逸話のひとつで、キタイロン山のライオン狩りに向かったヘラクレスを歓迎するテスピオス(テスピウス)王が、彼の50人の娘と一晩の内に交わらせ、それぞれに子をもうけたとされる話を主題とした作品である(※またヘラクレスがミケーネ王エウリュステウスから命じられた12年間の奉仕(12の功業)のひとつからも典拠を得ている)。本作ではヘラクレスが画面のほぼ中央に配されているが、その様子は周囲に集う裸体のテスピオスの娘たちと彼女らが身につける香水によって、まるで苦悩しているかのような姿に見える。ヘラクレスの周囲には大勢のテスピオスの娘らが描き込まれているが、妖艶で幻想的ながら生気を全く感じさせない娘らの姿には、ある種の無機質性を見出すことができる。またヘラクレスの座する台横の標柱には男性的な力の象徴である太陽と雄牛、女性の神秘性の象徴である月とスフィンクスが装飾されており、さらに本場面全体の建築からは文明的でありながら原始的な力動の雰囲気を強く感じられる。本作に表される50人もの美しき、そして無感情なテスピオスの娘たちと孤独的なヘラクレスの対比には主題に対するモロー独特の解釈が示されており、さらに群集構図でありながら静寂すら感じさせる全体像には画家独自の美の世界観を見出すことができる。


【全体図】
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苦悩する孤独的なヘラクレスの姿。モローが師シャセリオーの作品に強く感銘し、1853年から制作が開始され、一時期の中断を経て1882年から再着手し翌1883年頃に完成となった本作は、古代ギリシア神話に登場する伝説的英雄≪ヘラクレス≫の逸話のひとつに典拠を得て制作された作品である。



【苦悩する孤独的なヘラクレスの姿】
妖艶ながら無機質なテスピオスの娘たち。本作に表される50人もの美しき、そして無感情なテスピオスの娘たちと孤独的なヘラクレスの対比には主題に対するモロー独特の解釈が示されており、さらに群集構図でありながら静寂すら感じさせる全体像には画家独自の美の世界観を見出すことができる。



【無機質なテスピオスの娘たち】
男性の象徴と女性の象徴の対比。ヘラクレスの座する台横の標柱には男性的な力の象徴である太陽と雄牛、女性の神秘性の象徴である月とスフィンクスが装飾されており、さらに本場面全体の建築からは文明的でありながら原始的な力動の雰囲気を強く感じられる。



【男性の象徴と女性の象徴】

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