Description of a work (作品の解説)
2009/06/02掲載
Work figure (作品図)
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プロメテウス

 (Prométhée) 1868年
205×122cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

19世紀フランス象徴主義における孤高の巨匠ギュスターヴ・モローの代表作『プロメテウス』。1869年のサロン出品作である本作は、神話上の登場人物で、泥土から人間を想像することのできるティタン神族(巨人族)≪プロメテウス≫が火神ウルカヌスの鍛冶場から炎を盗み出し人間へ与えたことで主神ユピテルの逆鱗に触れ、カウカソス山頂に鎖でつながれ、永遠に肝臓を高貴なる鷲に啄ばまれる罰(肝臓は毎日再生したとされている)を受ける場面≪鎖につながれたプロメテウス≫を主題に制作された作品で、その保守的な作風によってモローの独創性を評価し望んでいた人々から酷評を受けたことでもよく知られている(※モローはこの酷評によって1876年までサロンへの出品を止めてしまう)。画面中央やや左側へ配されるプロメテウスは真横を向け遥か彼方へと視線を向けるかのように、どこか一点を見つめている。この気高く、どこか不可侵性を感じさせるプロメテウスの横顔から本作は予てから『キリストの顔を持つプロメテウス』とも呼ばれている。筋骨隆々とした肉体美ながら主神ユピテルによって両手足は鎖につながれており、ここから逃げ出すことは叶わない。そして画面左側にはプロメテウスの肝臓を残酷に啄ばむ聖なる鷲が配されているものの、その姿は邪悪的な禿鷹を容易に連想することができる。本作で最も注目すべき点は残酷的な場面の中に漂う匂い発つようなモロー独特の甘美性にある。先にも述べたよう本作に描かれるプロメテウスの横顔は一見しただけではティタン神族(巨人族)とは思えぬほど男性的な気品と端整な造形を示しており、逞しい肉体と相まって非常に甘美的な印象を観る者に与える。そこには卑俗な性的隠喩は感じられず、古典的な理想美を見出すことができる。さらに鋭く尖った岩肌が特徴的な垂直が強調されるカウカソス山の幻想的な雰囲気がそれらを強調する効果を生み出している。これらは数年前(1864年)にモローがサロンへと出品した『オイディプスとスフィンクス』の独創性を期待していた人々には、物足りなさを感じさせ、モローの保守的展開が激しく批難される要因となってしまったものの、作品自体の完成度や画家の作品に通じる幻想性は今も色褪せず観る者を魅了し続ける。


【全体図】
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高貴な横顔のプロメテウス。1869年のサロン出品作である本作の画面中央やや左側へ配されるプロメテウスは真横を向け遥か彼方へと視線を向けるかのように、どこか一点を見つめており、この気高く、どこか不可侵性を感じさせるプロメテウスの横顔から本作は『キリストの顔を持つプロメテウス』とも呼ばれている。



【高貴な横顔のプロメテウス】
筋骨隆々とした逞しい肉体。先にも述べたよう本作に描かれるプロメテウスの横顔は一見しただけではティタン神族(巨人族)とは思えぬほど男性的な気品と端整な造形を示しており、逞しい肉体と相まって非常に甘美的な印象を観る者に与える。



【筋骨隆々とした逞しい肉体】
プロメテウスの肝臓を啄ばむ鷲。≪鎖につながれたプロメテウス≫を主題に制作された作品である本作の画面左側にはプロメテウスの肝臓を残酷に啄ばむ聖なる鷲が配されているものの、その姿は邪悪的な禿鷹を容易に連想することができる。



【プロメテウスの肝臓を啄ばむ鷲】

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