Description of a work (作品の解説)
2010/04/27掲載
Work figure (作品図)
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パルカと死の天使


(La Parque et l'ange de la mort) 1890年頃
110×67cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー晩年の象徴的な作品『パルカと死の天使』。画家最愛の恋人であったアデライド=アレクサンドリーヌ・デュルーが死去した直後から構想され、同年(1890年)頃現在の形で完成した本作は、人間の運命を司る女神≪パルカ(※通常はクロト(紡ぐ者)、ラケシス(運命の割当者)、アトロポス(不可避の者・糸を断つ者)の3姉妹とされる)≫たちに導かれる≪死の天使≫を象徴的に描いた作品である。画面中央に描かれる黒馬に跨りながら歩みを進める死の天使は、人間に死をもたらすのであろうことを容易に連想させる大剣を象徴的に片手で持ち、光輪を背負いながら丘の上に参じている。死の天使の赤い翼は後光によって赤々と輝き、まるで人間の逃れられない、拒むことのできない死を象徴しているかのようである。死の天使の前面に描かれるパルカは唯、静かに死の天使を導き、無感情にその職務を遂行している様子である。そして画面後方となる遠景には、あたかも人の命が儚く消えゆくように夕日が沈んでいる情景が描かれており、さらに死の天使の上部には星(一説には明星とされる)が輝いている。本作が描かれた1890年にモローは恋人アデライド=アレクサンドリーヌ・デュルーを亡くしており、最愛の恋人に訪れた絶対的な死の運命とその絶望的な感情を本作からは感じることができる。


【全体図】
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黒馬に跨り参じる死の天使。本作は人間の運命を司る女神≪パルカ(※通常はクロト(紡ぐ者)、ラケシス(運命の割当者)、アトロポス(不可避の者・糸を断つ者)の3姉妹とされる)≫たちに導かれる≪死の天使≫を象徴的に描いた作品である。



【黒馬に跨り参じる死の天使】
死の天使を導く女神パルカ。死の天使の赤い翼は後光によって赤々と輝き、まるで人間の逃れられない、拒むことのできない死を象徴しているかのようである。死の天使の前面に描かれるパルカは唯、静かに死の天使を導き、無感情にその職務を遂行している様子である。



【死の天使を導く女神パルカ】
沈みゆく太陽の情景。本作が描かれた1890年にモローは恋人アデライド=アレクサンドリーヌ・デュルーを亡くしており、最愛の恋人に訪れた絶対的な死の運命とその絶望的な感情を本作からは感じることができる。



【沈みゆく太陽の情景】

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