Description of a work (作品の解説)
2010/06/25掲載
Work figure (作品図)
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オレステスとエリニュスたち
(オレステスと復讐の女神たち)


(Oreste et Erinyes (ou et les Furries)) 1891年
180×120cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローの代表作『オレステスとエリニュスたち(オレステスと復讐の女神たち)』。本作は古代ギリシアの伝説的吟遊詩人ホメロスによる傑作叙事詩≪イリアス≫に登場するミュケナイ王アガメムノンの息子≪オレステス≫の逸話を主題とした作品である。叙事詩≪イリアス≫に記されるオレステスの逸話では、ミュケナイ王アガメムノンを殺害したオレステスの母クリュタイムネストラとその愛人(情夫)アイギストスが、王の息子(そしてクリュタイムネストラ自身の息子でもある)オレステスも殺そうとするものの姉エレクトラの手引きで難を逃れ、数年後、従兄弟ピュラデスを伴い父の仇である母クリュタイムネストラとアイギストス討つものの、親殺し(実母殺し)の罪によりエリニュス(復讐の女神たち)に追われることになり、遂には呪いを受け狂気に陥ったが太陽神アポロンの力により正気に戻ったとされており、本作ではエリニュス(復讐の女神たち)に追われる狂気のオレステスが太陽神アポロンの神殿で正気に返る場面が描かれている。画面下部へ配されるオレステスは太陽神アポロンの神殿の聖々とした静寂と大理石の低い温度によって冷静さを取り戻し、犯した親殺しの罪に自責し、また恐怖している。オレステスの頭上ではアレクト(不休者)、ティシポネ(復讐者)、メガイラ(嫉妬者)と3人の復讐の女神たちが留まり、悲痛な表情を浮かべながら涙を流している。本作の劇的な感情性や運動性を感じさせず、観る者の内面へと迫るかのような登場人物の静的な情感表現や詩情性、またそれを効果的に引き立てる装飾性の際立つ神殿の場面描写などは画家の作品の中でも傑出した出来栄えを示している。


【全体図】
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己の罪に恐怖し、また自責するオレステス。本作は古代ギリシアの伝説的吟遊詩人ホメロスによる傑作叙事詩≪イリアス≫に登場するミュケナイ王アガメムノンの息子≪オレステス≫の逸話を主題とした作品で、エリニュス(復讐の女神たち)に追われる狂気のオレステスが太陽神アポロンの神殿で正気に返る場面が描かれている。



【己の罪に恐怖し自責するオレステス】
嘆き涙を流す復讐の女神たち。画面下部へ配されるオレステスは太陽神アポロンの神殿の聖々とした静寂と大理石の低い温度によって冷静さを取り戻し、犯した親殺しの罪に自責し、また恐怖している。オレステスの頭上ではアレクト(不休者)、ティシポネ(復讐者)、メガイラ(嫉妬者)と3人の復讐の女神たちが留まり、悲痛な表情を浮かべながら涙を流している。



【嘆き涙を流す復讐の女神たち】
装飾性の際立つ神殿内部の描写。本作の劇的な感情性や運動性を感じさせず、観る者の内面へと迫るかのような登場人物の静的な情感表現や詩情性、またそれを効果的に引き立てる装飾性の際立つ神殿の場面描写などは画家の作品の中でも傑出した出来栄えを示している。



【装飾性の際立つ神殿内部の描写】

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