Description of a work (作品の解説)
2010/01/17掲載
Work figure (作品図)
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人類の生

 (La vie de l'Humanité) 1886年
最上部 37×93cm,各 33×35cm | 油彩・板 | モロー美術館

19世紀フランス象徴主義の偉大なる画家ギュスターヴ・モローの象徴主義性の集大成的な傑作『人類の生』。いつ頃から制作されていたのかは現在も不明であるが、残される素描から少なくとも1870年代末には構想が練られていたことが判明している本作は、聖書中の主題や神話の逸話から9つの場面を選定し≪人類の3つの時期(又は人類の歴史的段階)≫を表した多翼祭壇画形式の大作である。9つに分割される場面は左から右へと朝、昼、晩と時間的経過を表しており、上段には旧約聖書に記された人類の誕生を示す『アダム』の物語が、中段にはギリシア神話に登場する最も高名な吟遊詩人『オルフェウス』の物語が、下段には文明を得た人類の堕落の象徴であり、また人類最初の犯罪(殺人)の物語でもある旧約聖書中『カイン』の逸話が描かれており、そして画面最上部の半円形の画面には人類が至る終着地として≪贖主イエス≫の姿が配されている。またさらに『アダム』、『オルフェウス』、『カイン』は古代ギリシアの詩人ヘシオドスの著書「労働と日々」での各時代『黄金時代』、『白銀の時代』、『鉄の時代』(※青銅時代及び英雄時代は含まれない)に呼応させている。『アダム(黄金時代)』の物語は朝に祈り、昼に陶酔、晩に眠りと人類の純粋な活動が示されており、『オルフェウス(白銀の時代)』における朝=夢、昼=歌、夜=涙のように青春と苦悩の時を経て、『カイン(鉄の時代)』の朝の種まき(生産)、昼の労働、そして晩の死へと続いている。また『アダム(黄金時代)』は少年期、『オルフェウス(白銀の時代)』は青年期、『カイン(鉄の時代)』は壮年期と、そのまま人生の3段階としても解釈することができる。本作では横軸での解釈に留まらず、縦軸、そして斜め軸によっても各場面と時代を解釈することができる点は特筆に値するものである。

関連:『人類の生:各部解釈と対応表』


【全体図】
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アダム(黄金の時代)の物語における朝の祈り。9つに分割される場面は左から右へと朝、昼、晩と時間的経過を表しており、上段には『アダム』の物語が、中段には『オルフェウス』の物語が、下段には『カイン』の逸話が描かれている。



【アダムの物語における朝の祈り】
オルフェウス(白銀の時代)における昼の歌。『アダム』、『オルフェウス』、『カイン』は古代ギリシアの詩人ヘシオドスの著書「労働と日々」での各時代『黄金時代』、『白銀の時代』、『鉄の時代』に呼応している。



【オルフェウスにおける昼の歌】
カイン(鉄の時代)における晩の死。『アダム』の物語は朝に祈り、昼に陶酔、晩に眠りと人類の純粋な活動が示されており、『オルフェウス』における朝=夢、昼=歌、夜=涙のように青春と苦悩の時を経て、『カイン』の朝の種まき(生産)、昼の労働、そして晩の死へと続いている。



【カインにおける晩の死】
人類の終着地としての贖主イエス。聖書中の主題や神話の逸話から9つの場面を選定し≪人類の3つの時期(又は人類の歴史的段階)≫を表した多翼祭壇画形式の大作である本作の画面最上部の半円形の画面には人類が至る終着地として≪贖主イエス≫の姿が配されている。



【人類の終着地としての贖主イエス】

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