Description of a work (作品の解説)
2009/07/06掲載
Work figure (作品図)
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若者と死

 (Le jeune homme et la mort) 1865年
213×126cm | 油彩・画布 | フォッグ美術館

フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローの代表作『若者と死』。親友であり偉大なる師でもあったロマン主義の画家シャセリオーの死の追悼として1856年からモローが取り組みを始めた本作は、師シャセリオーの面影が残る希望と生に満ちた≪若者≫と、若者に忍び寄る≪死≫を象徴的かつ独創的に描き出した作品で、1865年のサロンに出品された際、多くの批評家たちから称賛を受けた作品としても知られる。画面中央に配される師シャセリオーを理想化された顔立ちの若者は、最も明瞭な光に包まれながら自ら左手で勝利を象徴する月桂樹の冠を被ろうとしているが、右手には死を意味する黄水仙の花束が握られている。若者の背後には柔らかい眠りにつく若い女性が若者へ付きまとうように描かれており、女性左手には限りある時間を意味する砂時計が、右手には絶命を意味する剣が配されている。さらに画面下部には幼児の姿をした聖霊が松明を手にしているものの、その炎は今にも消えそうなほど弱々しい。画家自身、多大な影響を受けた師シャセリオーの若すぎる死(シャセリオーは37歳で死去している)への哀悼の念を、類稀な独創性による幻想的世界観によって表現された本作は1860年代のモローの絵画様式が最も明確に示される作品として、今なお我々に強い感銘を与え続けるのである。なお当時から高い評価を受けた本作は後に水彩などで数多くのヴァリアントが制作されている。


【全体図】
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月桂樹の冠を被る若者と忍び寄る死の象徴。親友であり偉大なる師でもあったロマン主義の画家シャセリオーの死の追悼として1856年からモローが取り組みを始めた本作は、師シャセリオーの面影が残る希望と生に満ちた≪若者≫と、若者に忍び寄る≪死≫を象徴的かつ独創的に描き出した作品である。



【若者と忍び寄る死の象徴】
弱々しい炎が灯った松明を持つ幼い聖霊。画面中央に配される若者は自ら左手で勝利を象徴する月桂樹の冠を被ろうとしているが、右手には死を意味する黄水仙の花束が握られている。若者の背後には柔らかい眠りにつく若い女性が若者へ付きまとうように描かれており、女性左手には限りある時間を意味する砂時計が、右手には絶命を意味する剣が配されている。



【弱々しい炎が灯った松明を持つ聖霊】
飛び去る小鳥。画家自身、多大な影響を受けた師シャセリオーの若すぎる死(シャセリオーは37歳で死去している)への哀悼の念を、類稀な独創性による幻想的世界観によって表現された本作は1860年代のモローの絵画様式が最も明確に示される作品としてもよく知られている。



【飛び去る小鳥】

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