Description of a work (作品の解説)
2008/05/07掲載
Work figure (作品図)
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人生の三段階(女の生の三段階、人生の三世代)


(Die drei Lebensalter) 1905年
180×180cm | 油彩・画布 | ローマ国立近代美術館

ウィーン分離派の巨匠グスタフ・クリムトの重要な作品のひとつ『人生の三段階(女の生の三段階、人生の三世代)』。本作は中世以来、一般的な画題のひとつとして定着した、幼少期、若年期(青年期)、老年期(さらに老年期の前へ成人期を入れる場合もある)と人間の≪人生の段階≫を描いた作品である。本作では女性の人生の3段階が描かれており、若年期を表す若く美しい女が、幼少期の女の子供を抱き、その背後に老年期となる醜く老いた老婆が配されている。若年期と幼年期の2者は瞳を閉じ、穏やかな表情を浮かべながら互いを慈しむように抱き合っている。また両者の下半身は薄く透けた緑色の布に包まれ、さらに鮮やかな青色と黄色によって華やかに装飾されている。これらは若年期と幼年期の輝く若さと純潔性、そして未来への喜びを意味している。一方、左手で顔を覆い、うな垂れるかのような姿態の痩せ衰えた(老年期の)老婆の姿は、若年期と幼年期の瑞々しく光に満ちた姿とは対照的に、観る者に対して否が応にも人生の終着≪死≫を予感させる。この老婆の姿は19世紀最大の彫刻家であり、クリムトも尊敬の念を抱いていたオーギュスト・ロダンの彫刻『昔は美しかった兜鍛冶の女(老いた娼婦)』から着想が得られている。本作の背景の豪奢で平面性が際立つ表現も見事であるが、画面上部の黒色で塗られた暗部的表現は、金色使用による華麗で装飾的な表現から離れた画家の晩年期の作風を予期させる点でより重要視されている。


【全体図】
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穏やかな表情を浮かべながら互いを慈しむように抱き合う若年期と幼年期。本作は中世以来、一般的な画題のひとつとして定着した、幼少期、若年期(青年期)、老年期(さらに老年期の前へ成人期を入れる場合もある)と人間の≪人生の段階≫を描いた作品である。



【穏やかな表情の若年期と幼年期】
左手で顔を覆う老いた老婆の姿。左手で顔を覆い、うな垂れるかのような姿態の痩せ衰えた(老年期の)老婆の姿は、若年期と幼年期の瑞々しく光に満ちた姿とは対照的に、観る者に対して否が応にも人生の終着≪死≫を予感させる。



【左手で顔を覆う老いた老婆の姿】
輝く若さと純潔性、そして未来への喜びを意味する華麗な装飾。若年期を表す若く美しい女が、幼少期の女の子供を抱くという姿で表現された両者の下半身は薄く透けた緑色の布に包まれ、さらに鮮やかな青色と黄色によって華やかに装飾されている。



【若さと純潔性を意味する華麗な装飾】

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