Description of a work (作品の解説)
2008/05/09掲載
Work figure (作品図)
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乙女(処女)

 (Die Fungfrau) 1913年
190×200cm | 油彩・画布 | プラハ国立美術館

19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した不世出の大画家グスタフ・クリムトの代表作『乙女(処女)』。7人もの女性が複雑に絡み重なり合った、異様な光景が描かれる本作は、多種多様な美術様式が登場し、己の芸術が理解されず人気に陰りが見え、黄金を多用した豪華な表現を捨て、新たな表現を模索・探求したクリムト晩年期の様式を代表する作品である。本作に描かれる楕円形の塊のような女性達の、現実と非現実の狭間に居るような夢想的・幻惑的な表情や、安堵感に満ちた穏健な眠りの表情、性的な快楽を感じさせる恍惚に満ちた表情などは、観る者に彼女らが同性愛的な傾向にあるような印象を与える(クリムトはレズビアンを題材に『女友達』という作品を最晩年(1916-17年)に制作しているものの、この作品は1945年に焼失した)。さらに空間的構成が全くおこなわれない平面的で宇宙的な背景の暗く沈んだ色彩と、乙女たちの身に着ける(又は縺れ巻き付く)様々な文様で図案化・装飾された衣服(布)の無秩序的な多様性を示す奔放な色彩との色彩的対比は、晩年期の画家の特徴を良く表している。また漠然とした無限的な広がりを感じさせる空間の中を漂っているかのような乙女らの浮遊感は、まるで宇宙空間を永遠に彷徨う星雲群を思わせ、この乙女たちの未来の行く末に対する不安感を観る者に抱かせる。

関連:1916-17年 『女友達』


【全体図】
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様々な表情を浮かべる乙女たち。本作に描かれる楕円形の塊のような女性達の、現実と非現実の狭間に居るような夢想的・幻惑的な表情や、安堵感に満ちた穏健な眠りの表情、性的な快楽を感じさせる恍惚に満ちた表情などは、観る者に彼女らが同性愛的な傾向にあるような印象を与える。



【様々な表情を浮かべる乙女たち】
複雑に絡み合う乙女らの姿態。7人もの女性が複雑に絡み重なり合った、異様な光景が描かれる本作は、多種多様な美術様式が登場し、己の芸術が理解されず人気に陰りが見え、黄金を多用した豪華な表現を捨て、新たな表現を模索・探求したクリムト晩年期の様式を代表する作品である。



【複雑に絡み合う乙女らの姿態】
クリムトが新たに見出した奔放で多様な色彩表現。空間的構成が全くおこなわれない平面的で宇宙的な背景の暗く沈んだ色彩と、乙女たちの様々な文様で図案化・装飾された衣服(布)の無秩序的な多様性を示す奔放な色彩との色彩的対比は、晩年期の画家の特徴を良く表している。



【新たに見出した奔放で多様な色彩】

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