Description of a work (作品の解説)
2009/10/16掲載
Work figure (作品図)
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見捨てられた町

 (Ville Abandonnée) 1904年
76×69cm | パステル・鉛筆・厚紙 | ベルギー王立美術館

ベルギー象徴主義の最も著名な画家フェルナン・クノップフが20世紀に入ってから手がけたパステル画の傑作『見捨てられた町』。本作は画家が幼少期を過ごした大都市ブルッヘ(ブルージュ)の≪ハンス・メムリンク広場(水曜日広場)≫を画題とした作品で、画家が入手した簡素な絵葉書に基づいて制作されている点などクノップフの作品制作の手法や工程における典型的な成功例としても非常に重要視されている。画面中央には本来ならば15世紀後半にブルッヘで活躍した初期ネーデルランド絵画の大画家ハンス・メムリンクの全身像が置かれている台座が、像が置かれぬまま台座のみで配され、その背後には実風景にほぼ忠実な三角屋根が特徴的な家々が描かれている。さらに画面中央から左側には本風景の奥行きを感じさせる大きな要因となっている石畳と道が、中央から右側には現実には在り得ない広大な海が波寄せている。そして画面上部へは雲ひとつない極めて虚空的な印象の空が無限的に広がっている。本作の非常に緻密で写実性の高い表現による現実味と、建物、台座、石畳以外の全て、本広場の象徴的存在でありブルッヘを代表する人物であるメムリンクの全身像すら除外した本風景との間に感じられる不可思議的な違和や、人の気配を全く感じさせない閑散とした独特の静寂感、まるで夢中夢のような町の様子などは、まさに『見捨てられた町』の名に相応しい雰囲気であり、懐郷的なクノップフの記憶の中の風景を容易に連想することができる。


【全体図】
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メムリンクの全身像が置かれない台座。本作は画家が幼少期を過ごした大都市ブルッヘの≪ハンス・メムリンク広場(水曜日広場)≫を画題とした作品で、画家が入手した簡素な絵葉書に基づいて制作されている点などクノップフの作品制作の手法や工程における典型的な成功例としても非常に重要視されている。



【メムリンクの像が置かれない台座】
細密な描写により石畳の道。画面中央には本来ならば15世紀後半にブルッヘで活躍した初期ネーデルランド絵画の大画家ハンス・メムリンクの全身像が置かれている台座が、像が置かれぬまま台座のみで配され、その背後には実風景にほぼ忠実な三角屋根が特徴的な家々が描かれている。



【細密な描写により石畳の道】
現風景に極めて忠実な建物の描写。現風景と本作の風景との間に感じられる不可思議的な違和や、人の気配を全く感じさせない閑散とした独特の静寂感、まるで夢中夢のような町の様子などは、まさに『見捨てられた町』の名に相応しい雰囲気である。



【現風景に極めて忠実な建物の描写】

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