Description of a work (作品の解説)
2009/01/13掲載
Work figure (作品図)
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夕映えの中のマルト(象徴主義者としてのマルトの肖像)


(Marthe au crépuscule (Portrait de Marthe Symboliste))
1892年 | 130×71cm | 油彩・画布
プリウレ美術館(サン=ジェルマン=アン=レ)

ナビ派随一の理論家モーリス・ドニを代表する作品のひとつ『夕映えの中のマルト(象徴主義者としてのマルトの肖像)』。本作はドニの最愛の女性であり、翌1893年には結婚もしているマルト・ムーリエの姿を緑深い庭園の中に描いた肖像画作品である。前景として画面中央からやや右側へ斜めに構えたマルトの姿が配されており、その表情は見ようによっては悟りを開いているかのようにも、憂鬱な感情を浮かべているようにも見える。バルコニーらしき手摺を挟み、中景には沸き立ったかのような鬱蒼とした樹木の葉が配され、さらに遠景へはのどかで牧歌的な街並みが広がっている。中景の画面中央やや左下部分や遠景の左上部分には手を取り合う仲睦まじい男女のシルエットが描き込まれており、これらがドニとマルトの親密な関係性を象徴している。本作の表現に注目してもマルトの腰辺りまで伸びる柔らかな髪の毛や文様的な衣服の、まるでステンドグラスを思わせるかのような色面による平面的描写や、鬱蒼とした樹木の葉の日本美術的な表現にはモーリス・ドニが提唱する絵画理論への実践が示されている。さらに本作で注目すべき点は額の表現にある。この形状が簡略化された独特の木の葉による額の描写は本作に描かれるマルト・ムーリエが手がけていることが判明しており、画家とマルトによる象徴主義作品の共作という点でも本作は特に重要視されている。


【全体図】
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複雑な表情を浮かべるマルト・ムーリエ。前景として画面中央からやや右側へ斜めに構えたマルトの姿が配されており、その表情は見ようによっては悟りを開いているかのようにも、憂鬱な感情を浮かべているようにも見える。



【複雑な表情を浮かべるマルトの姿】
ステンドグラスを思わせる服の表現。本作の表現に注目してもマルトの腰辺りまで伸びる柔らかな髪の毛や文様的な衣服の、まるでステンドグラスを思わせるかのような色面による平面的描写や、鬱蒼とした樹木の葉の日本美術的な表現にはモーリス・ドニが提唱する絵画理論への実践が示されている。



【ステンドグラスを思わせる服の表現】
ドニとマルトの親密な関係性を象徴する男女の姿。中景の画面中央やや左下部分や遠景の左上部分には手を取り合う仲睦まじい男女のシルエットが描き込まれており、これらがドニとマルトの親密な関係性を象徴している。



【ドニとマルトを象徴する男女の姿】

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