Description of a work (作品の解説)
2009/04/16掲載
Work figure (作品図)
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棕櫚の木(ヤシの木)

 (La Palme) 1926年
114.3×147cm | 油彩・画布 | フィリップス・コレクション

親密派(アンティミスム)を代表する画家ピエール・ボナール1920年代の代表作『棕櫚の木(ヤシの木)』。本作は画家がこの作品を手がける前年(1925年)に別荘を購入した南仏ル・カンネ近郊の風景を基に構成された作品である。前景となる画面下部棕櫚(ヤシ科の常緑高木)の生垣と共にひとりの少女らしき女性が林檎を手にした姿で配されている。また同じく前景として画面上部には棕櫚の青々とした葉がアーチ状に描き込まれている。そして遠景として画面中央には赤屋根が特徴的な南仏の街並みとそのさらに奥へ地中海が悠々と配されており、強い陽光によって輝きながら広がる風景は観る者に心地よい開放感を与えている。本作で最も注目すべき点はこの頃のボナールの取り組みのひとつに数えられる逆説的描写効果にある。遠景の街並みや輝く地中海とは対照的に近景となる画面下部の女性は、幻想的なまでの淡い陰影に包まれている。この本来の光の取り組みを逆転させた視覚的効果は本作にある種の神秘性を与えながら、絶妙な色彩感覚によって観る者に不思議な調和を感じさせており、ここにボナールの絵画的仕掛けを見出すことができる。


【全体図】
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幻想的な陰影に包まれる林檎を手にした女性。本作は画家がこの作品を手がける前年(1925年)に別荘を購入した南仏ル・カンネ近郊の風景を基に構成された作品で、前景となる画面下部棕櫚(ヤシ科の常緑高木)の生垣と共にひとりの少女らしき女性が林檎を手にした姿で配されている。



【幻想的な陰影に包まれる女性】
額のように画面の周囲を囲む棕櫚。本来の光の取り組みを逆転させた視覚的効果は本作にある種の神秘性を与えながら、絶妙な色彩感覚によって観る者に不思議な調和を感じさせており、ここにボナールの絵画的仕掛けを見出すことができる。



【画面の周囲を囲む棕櫚】
陽光の光を反射する地中海と輝く街並み。遠景として画面中央には赤屋根が特徴的な南仏の街並みとそのさらに奥へ地中海が悠々と配されており、強い陽光によって輝きながら広がる風景は観る者に心地よい開放感を与えている。



【陽光の光を反射する地中海】

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