Description of a work (作品の解説)
2008/10/04掲載
Work figure (作品図)
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戯れる二匹の犬(2匹のプードル犬)


(Deux chiens jouant) 1891年頃
36.3×39.7cm | 油彩・画布 | サウサンプトン市立美術館

ナビ派の中で最も日本趣味(ジャポニズム)に傾倒した画家ピエール・ボナール初期の代表作『戯れる二匹の犬(2匹のプードル犬)』。本作はボナールが飼っていた愛犬ラヴァジョーを描いたデッサンに基づいて制作されたと推測される作品で、元来、このデザインは飾り棚の扉に填め込まれるパネルとして考案されたものであった。画家は生涯で犬や猫などを画題とした作品を数多く残しているが、本作には画家の総合主義的要素と日本趣味(ジャポニズム)的要素が最も明確に表れている。画面には右上、左下へと二匹のプードル犬が配されており、二匹はじゃれ合う様に互いの方へ顔を向けている。黒い輪郭線で囲まれたプードル犬は、立体感を除外し平面的にアプローチすることによって影絵(シルエット)のような形状と化している。またプードル犬の柔らかい巻き毛の描写は斑模様のような独特の色彩によって表現されており、無意義的で意味の無い表現に陥る危険を避けている。それは背景として描かれる草叢も同様であり、あくまでも色面として取り組みながらも、その質感は独特な描写によって明確に表現されている。本作の陰影描写や写実的表現を否定し、色面化した対象を象徴的に捉え表現する手法は総合主義の大きな特徴であるが、それらと日本趣味的な奇抜な構図や画面展開とを複合した点にはボナールの独自性が感じられる。


【全体図】
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じゃれ合う二匹のプードル犬。本作はボナールが飼っていた愛犬ラヴァジョーを描いたデッサンに基づいて制作されたと推測される作品で、元来、このデザインは飾り棚の扉に填め込まれるパネルとして考案されたものであった。



【じゃれ合う二匹のプードル犬】
立体感を除外した平面的なアプローチ。画面には右上、左下へと二匹のプードル犬が配されており、二匹はじゃれ合う様に互いの方へ顔を向けており、黒い輪郭線で囲まれたプードル犬は、立体感を除外し平面的にアプローチすることによって影絵(シルエット)のような形状と化している。



【立体感を除外した平面的な展開】
斑模様のような独特の色彩。犬の柔らかい巻き毛や背景として描かれる草叢の描写は、あくまでも色面として取り組みながらも、斑模様のような独特の色彩によって表現されており、無意義的で意味の無い表現に陥る危険を避けている。



斑模様のような独特の色彩

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