Description of a work (作品の解説)
2008/07/17掲載
Work figure (作品図)
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逆光の裸婦(薔薇の長椅子のある化粧室、オー・デ・コロン)

 (Nu à contre-jour (Le cabinet de toilette au canapé rose))
1908年 | 124×108cm | 油彩・画布 | ベルギー王立美術館

親密派(アンティミスム)随一の画家ピエール・ボナール1900年代の代表作『逆光の裸婦』。ベルギーのブリュッセルにある王立美術館に所蔵される本作は、後に最愛の妻となるマリア・ブールサン(通称マルト)をモデルに室内の≪裸婦≫を描いた画家の典型となる裸婦作品のひとつである。『薔薇の長椅子(ソファー)のある化粧室』、『オー・デ・コロン』など過去、複数の名称で呼称された本作では、画面中央やや右側に香水(オーデコロン)を己の体に付ける若いマルトが一糸纏わぬ姿で描かれており、その無防備で私的な情景は、あたかもマルトの日常を垣間見ている感覚すら(本作を)観る者に抱かせる。画面左側にはマルトが自身の裸体を映している鏡と化粧台、そしてその下方には浴槽代わりの金盥(たらい)が配されており、画面右側には薔薇柄を思わせる長椅子と黄色・緑色・橙色の柄で彩られた横壁が描かれている。さらに画面奥の大きな窓にはレースのカーテンが掛けられており、射し込む陽光を柔らかく遮光している。描写手法自体は大ぶりで流動的な画家独自の筆触によって重量感や力強さすら感じさせるものの、このカーテンによって程よく遮られた光の洪水の効果で画面全体には色彩と明度に溢れている。特に窓に掛けられたカーテンのうねる様な独特の質感や、逆光的に描かれるマルトの背中で反射する光と陰影部分のコントラストなどは特に注目すべき点であるほか、青味がかった色彩が基調となる窓と化粧台部分、赤味の差したマルトの裸体と床と長椅子、そして黄色味を強く感じさせる横壁との色彩的対比も本作の大きな見所のひとつである。


【全体図】
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香水(オーデコロン)を付けるマルト。ベルギーのブリュッセルにある王立美術館に所蔵される本作は、後に最愛の妻となるマリア・ブールサン(通称マルト)をモデルに室内の≪裸婦≫を描いた画家の典型となる裸婦作品のひとつである。



【香水(オーデコロン)を付けるマルト】
マルトの裸体が映る鏡。画面中央やや右側に香水(オーデコロン)を己の体に付ける若いマルトが一糸纏わぬ姿で描かれており、その無防備で私的な情景は、あたかもマルトの日常を垣間見ている感覚すら(本作を)観る者に抱かせる。



【マルトの裸体が映る鏡】
カーテンのうねる様な独特の質感。描写手法自体は大ぶりで流動的な画家独自の筆触によって重量感や力強さすら感じさせるものの、このカーテンによって程よく遮られた光の洪水の効果で画面全体には色彩と明度に溢れている。



【カーテンのうねる様な独特の質感】
画面右側に描かれる薔薇柄を思わせる長椅子。青味がかった色彩が基調となる窓と化粧台部分、赤味の差したマルトの裸体と床と長椅子、そして黄色味を強く感じさせる横壁との色彩的対比も本作の大きな見所のひとつである。



【画面右側の薔薇柄を思わせる長椅子】

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