Description of a work (作品の解説)
2008/12/18掲載
Work figure (作品図)
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白い部屋(ル・カンネ)

 (Intérieur blanc) 1932年
109×156.5cm | 油彩・画布 | グルノーブル美術館

親密派(アンティミスム)を代表する画家ピエール・ボナール1930年代の傑作『白い部屋(ル・カンネ)』。本作は、フランス南東部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏に位置し、現在は国際映画祭の開催地としても名高いカンヌの入り江を眺望できるル・カンネと呼ばれた丘の上に建つ邸宅≪ル・ボスケ≫の一室の情景を描いた作品である。画面中央下部には一匹の猫と(おそらくは画家の最愛の妻マルトであろう)背を丸め屈んだ姿の婦人が配され、その左右には不思議な形状(まるで二つに分断されたかのような)のテーブルが描かれている。テーブルの上には色鮮やかな食器類が無秩序に置かれており、画面右端にはガラス製の花瓶が控えめに配されているほか、さらにテーブルの手前には橙色の木製椅子の背が見えている。一方、画面左側に配されるマントルピース(暖炉の焚き口の装飾枠)の上部には鮮やかな緑色が映える球形の花瓶に活けられた植物が置かれており、そこから右側へ視線を向けると唐突な空間的開放を感じさせる開かれたドアと、フランス窓の奥の、まるで異世界のような風景が目に飛び込んでくる。本作の構成要素や空間処理などは1910〜1920年代のボナールの様式を踏襲しているものの、無彩色(本作では名称ともなっている白色)を主色に広がる、輝きと光に満ちた無数の色彩の混沌とした表現はこの時代の大きな特徴である。特に屈んだ婦人に用いられる色彩はもはや、一見しただけでは婦人の存在に気付かないほど床面の色彩と混ざり合っており、この一体的な色彩表現と白色との多様な色彩的対比は今も我々の心を強く掴み続けるのである。


【全体図】
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微妙に色彩が変化する白色のドア。本作は、国際映画祭の開催地としても名高いカンヌの入り江を眺望できるル・カンネと呼ばれた丘の上に建つ邸宅≪ル・ボスケ≫の一室の情景を描いた作品である。



【微妙に色彩が変化する白色のドア】
無秩序に置かれる色鮮やかな食器類。無彩色(本作では名称ともなっている白色)を主色に広がる、輝きと光に満ちた無数の色彩の混沌とした表現は、本作のみならず、この時代(1930年代)の大きな特徴である。



【無秩序に置かれる色鮮やかな食器類】
まるで異世界のような窓の外の黄昏風景。画面左側には緑色が映える球形の花瓶に活けられた植物が置かれており、そこから右側へ視線を向けると唐突な空間的開放を感じさせる開かれたドアと、フランス窓の奥の、まるで異世界のような風景が目に飛び込んでくる。



【異世界のような窓の外の黄昏風景】

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