Description of a work (作品の解説)
2004/09/06掲載
Work figure (作品図)
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解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号

 1838年
(The Fighting "Temeraire", tugged to her Last Berth to be Broken up)
91×122cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

イギリス最大の風景画家のひとりジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーのロマン主義的な作風がよく表れる代表的な海景作品のひとつ『解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号』。本作は1838年9月6日マーゲイドから帰途している途中、船上からこの光景を目撃した画家が、心象に残る同風景を描いた作品である。人間が制御している最大の力である≪機械≫でも決して超えられない圧倒的な自然の強さや雄大さを表現した本作の燃えるような(水平線近くの)太陽の輝くような光の美しさは画家の作品の中でも特に秀逸の出来栄えである。また本作が制作される前年(1837年)にロイヤル・アカデミーの教授職を辞したターナーの栄光の日々の終焉を、本作の(製造当時は)最新鋭で幾多の重要な任務に就いた戦艦テメレール号が、使い古され破棄される存在となったことと心情を重ねたとも解釈されている。本作では『ノラム城、日の出』で予告される光を波長順に分解したスペクトル的な色彩理論が、太陽を中心に拡散する色彩の配置として如実に表れている。


【全体図】
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スペクトル的な色彩の配置方法。空と海面の狭間で揺らめく光は形と色彩が渾然一体となっており、海景独特の大気性ががよく表れている。本作の燃えるような太陽の輝くような光の美しさは画家の作品の中でも特に秀逸の出来栄えである。



【スペクトル的な色彩の配置方法】
役目を終え解体される戦艦テメレール号。本作は画家が1838年9月6日マーゲイドから帰途している途中、船上からこの光景を目撃した画家が、心象に残る同風景を描いた作品である。



【役目を終えた戦艦テメレール号】
輝くような太陽の拡散する光の表現。本作が制作される前年(1837年)にロイヤル・アカデミーの教授職を辞したターナーの栄光の日々の終焉を、本作の(製造当時は)最新鋭で幾多の重要な任務に就いた戦艦テメレール号が、使い古され破棄される存在となったことと心情を重ねたとも解釈されている。



【輝くような太陽の拡散する光の表現】

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