Description of a work (作品の解説)
2010/01/10掲載
Work figure (作品図)
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キリストの磔刑

 (goya_cristo) 1780年
255×153cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

スペイン絵画界の偉大なる巨匠フランシスコ・デ・ゴヤ初期を代表する宗教画作品『キリストの磔刑』。ゴヤが1780年に制作し、同年の5月5日にマドリッドの王立サン・フェルナンド美術アカデミーへ提出された、画家の同アカデミー入会審査作品としても知られる本作は、新約聖書に記される、自らユダヤの王と名乗り民を惑わしたという罪状で受難者イエスがユダヤの司祭から告発を受け、罪を裁く権限を持つ総督ピラトが手を洗い、自身に関わりが無いことを示した為、ユダヤの司祭らの告発どおりゴルゴダの丘で2人の盗人と共に磔刑に処された教義上最も重要視される場面のひとつ≪キリストの磔刑≫という当時最も社会的地位が高かった主題のひとつ宗教を扱った作品である。画面中央へ描かれる受難者イエスは父なる神に訴えかけるように天を仰ぎながら苦悶の表情を浮かべているが、その姿は若きゴヤの支援者でもあった同時代のスペイン画壇の重鎮アントン・ラファエル・メングスの作品を模するかのように、端整に理想化された肉体描写がおこなわれている。このゴヤとしては極めて異例的な新古典主義表現は、本作が制作される前年に死去したメングスへの哀悼と、保守的な古典様式が尊ばれていた当時のアカデミー入会審査に合格するという目的意識を明確に感じることができる。さらに受難者イエスの両足は重ねられることなく平行にされ、両手と合わせると計四本の杭で打ち付けられる姿はセビーリャの伝統的なイコノグラフ(図像学)に基づいており、同地出身である17世紀スペインにおける最重要画家ディエゴ・ベラスケスによる同主題の作品『キリストの磔刑(サン・プラシドのキリスト)』からの引用が如実に示されている点も特筆に値する。


【全体図】
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天を仰ぎ苦悶の表情を浮かべる受難者イエス。ゴヤが1780年に制作し、同年の5月5日にマドリッドの王立サン・フェルナンド美術アカデミーへ提出された、画家の同アカデミー入会審査作品としても知られる本作は≪キリストの磔刑≫という当時最も社会的地位が高かった主題のひとつ宗教を扱った作品である。



【苦悶の表情を浮かべる受難者イエス】
痛々しく杭で十字架に打ち付けられる手。本作のゴヤとしては極めて異例的な新古典主義表現は、本作が制作される前年に死去したメングスへの哀悼と、保守的な古典様式が尊ばれていた当時のアカデミー入会審査に合格するという目的意識を明確に感じることができる。



【杭で十字架に打ち付けられる手】
非常に端整で古典様式的な表現手法。画面中央へ描かれる受難者イエスは父なる神に訴えかけるように天を仰ぎながら苦悶の表情を浮かべているが、その姿は若きゴヤの支援者でもあった同時代のスペイン画壇の重鎮メングスの作品を模するかのように、端整に理想化された肉体描写がおこなわれている。



【非常に端整で古典様式的な表現手法】

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