Description of a work (作品の解説)
2009/12/31掲載
Work figure (作品図)
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ウジェーヌ・ドラクロワの肖像(自画像)


(Portrait d'Eugène Delacroix) 1837年頃
65×54.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス・ロマン主義随一の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワ充実期の代表作『ウジェーヌ・ドラクロワの肖像(自画像)』。本作は口髭など描かれる顔の特徴から画家が37〜40歳頃の己の姿を描いた≪自画像≫作品と考えられており、ドラクロワは生涯に数点しか自画像を残していないことが知られているが、本作はその中で最も完成度の高い作品として知られている。やや斜めに構え上半身のみを画面中央へ描き、背景など自身を含め説明的要素を一切排した非常に簡潔な自画像作品に仕上げられている本作のドラクロワの姿は、幼い頃から病弱であり数年前には咽頭炎を患った面影をまるで感じさせないほど鋭く、(本作と)対峙する者の内面まで入り込んでくるかのような視線をこちらへ向けながら口を真一文字に結んでいる。その表情からは自身の画業における充実と、その結果に対する野心的な将来像を見出すことができる。また身に着ける服装は、白いシャツに緑色の胴着、黒いマフラーと上着(ジャケット)と非常に洗練された組み合わせであり、自身の姿形に劣等感を抱いていた画家の性格が良く示されている。本作の表現手法に注目しても、素早く動かされた闊達な筆触による対象の瞬間を捉えるかのような描写や明部と暗部を強く対比させた感情性や心理的表現、抑えられた色数ながら陰影に絶妙な色味を加える独特の色彩描写などドラクロワのロマン主義的な傾向と様式がよく表れている。


【全体図】
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対峙する者の内面まで見通すかのような画家の鋭い視線。本作は口髭など描かれる顔の特徴から画家が37〜40歳頃の己の姿を描いた≪自画像≫作品と考えられており、本作は数少ないドラクロワの自画像作品の中で最も完成度の高い作品として知られている。



【対峙者へと向けられる鋭い視線】
30代後半から生やし始めた口髭。やや斜めに構え上半身のみを画面中央へ描き、背景など自身を含め説明的要素を一切排した非常に簡潔な自画像作品に仕上げられている本作のドラクロワの姿からは自身の画業における充実と、その結果に対する野心的な将来像を見出すことができる。



【30代後半から生やし始めた口髭】
洗練された印象を与える緑色。身に着ける服装は、白いシャツに緑色の胴着、黒いマフラーと上着(ジャケット)と非常に洗練された組み合わせであり、自身の姿形に劣等感を抱いていた画家の性格が良く示されている。



【洗練された印象を与える緑色】

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