Description of a work (作品の解説)
2008/06/09掲載
Work figure (作品図)
■ 

フランス喜劇の恋(フランス一座の恋)


(L'amour au Théâtre Français) 1716年頃
1716年頃 | 油彩・画布 | ベルリン国立絵画館

雅宴画の確立者として知られるロココ美術の大画家アントワーヌ・ヴァトーを代表する作品のひとつ『フランス喜劇の恋(フランス一座の恋、フランス芝居の愛)』。本作に描かれるのは、ヴァトーがしばしば画題として取り上げている≪芝居≫とそこに登場する役者を描いた作品のひとつである。本作で演じられる芝居についての詳細は(喜劇であるかも)不明であり、「村の結婚式」などとの関連性と共に諸説唱えられているものの、登場人物については画面内での扱われ方や身に着ける衣服などから大凡の見当はつく。画面中央やや右部分で最も強く明瞭な光に照らされる若い女性は本劇の女主人公であり、両手で身に着ける長いスカートの裾を摘んだ挨拶を交わす姿は、その対角線に配される画面右側の真紅の衣服に身を包む主人公の男と結びつく(主人公も若い女同様、挨拶をするような仕草を見せている)。さらに女主人公のすぐ右部分では葡萄の冠を着けた酒神バッカス役と、肩から矢筒を下げた太陽神アポロ役、そしてその間のコロンビーヌ役と思われる女が乾杯をおこなっている。画面左には音楽師らが複数人配されているが、この集団部分の表現はヴァトー初期の様式を思わせ、画面中央部分の主役級の人物らの円熟味を感じさせる表現とは明らかに異なっており、この差異は研究者の間では特に注目されている。また予てから言われている本作と同様の名称で知られた『イタリア喜劇の恋(イタリア一座の恋)』との対画的関連性については、否定的な意見も少なからず唱えられており、現在も議論が続いている。

関連:1718年頃 『イタリア喜劇の恋(イタリア一座の恋)』


【全体図】
拡大表示
画面の中で最も明瞭な光に包まれる女主人公。本作に描かれるのは、ヴァトーがしばしば画題として取り上げている≪芝居≫とそこに登場する役者を描いた作品のひとつで、画家の同様の作品群の中で最も有名な作品のひとつとしても知られている。



【最も明瞭な光に包まれる女主人公】
乾杯する酒神バッカス役と太陽神アポロ役の姿。女主人公のすぐ右部分では葡萄の冠を着けた酒神バッカス役と、肩から矢筒を下げた太陽神アポロ役、そしてその間のコロンビーヌ役と思われる女が乾杯をおこなっている。



【乾杯するバッカス役とアポロ役】
女主人公を挨拶を交わす真紅の衣服に身を包んだ主人公の男。本作で演じられる芝居についての詳細は(喜劇であるかも)不明であり、「村の結婚式」などとの関連性と共に様々な説が唱えられている。



【真紅の衣服に身を包んだ主人公の男】
画面左に配される音楽師の集団。この集団部分の表現はヴァトー初期の様式を思わせ、画面中央部分の主役級の人物らの円熟味を感じさせる表現とは明らかに異なっており、この差異は研究者の間では特に注目されている。



【画面左に配される音楽師の集団】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ