Description of a work (作品の解説)
2008/02/04掲載
Work figure (作品図)
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シャンゼリゼ(エリュシオンの園)


(Champs Elisées) 1716-1717年頃
32.5×46.5cm | 油彩・板 | ウォーレス・コレクション

ロココ美術の画家アントワーヌ・ヴァトーが手がけた雅宴画(フェート・ギャラント)作品の代表的作例のひとつ『シャンゼリゼ(エリュシオンの園)』。本作に描かれるのは、おそらく城館か、もしくは大邸宅の庭でおこなわれた多数の人々の集いの風景である。画家は円熟期となる1715年頃以降、このような広大な緑深い林や森を思わせる庭の中に群集を配した作品を数多く手がけるようになり、本作はその代表的な作例のひとつとして知られている。画面下部では、四人の若い女性らが流行の衣服に身を包み、花摘みや談笑をしており、彼女らの胸元に添えられる薔薇が女性の美しさや本場面の優雅性をより強調している。また四人中、最右の女性は寝そべる男との意味深な会話を楽しんでいるかのようである。さらに画面右端に目を向けると、雅宴画ではお馴染みとなる女性の彫像が配されており、その横たわり眠りにつく姿態は、画家によって本作の数年前頃に制作されたと推測されるルーヴル美術館所蔵の『ニンフとサテュロス』との類似性が指摘されている。一方、中央の女性らの左側には愛らしく遊ぶ3人の子供らが描かれているほか、中景には少なくもと15人以上の人々が、(前景に描かれる男女らと)同じようにこの庭の中で穏やかなひと時を過ごしているのを確認することができる。本作の豊潤な色彩や計算された画面構成と遠近描写、画家独特の憂いとある種の寂しさを感じさせる場面表現は、小画面(32.5×46.5cm)とは思えないほど秀逸な出来栄えを見せており、観る者を強く惹きつけるのである。なお本作から数年後(おそらく1719-1720年頃)、出来としては、多少、本作より劣るものの、本作の構図と非常に似た大画面(128×193cm)による作品『田園の気晴らし』が制作されている。

関連:ウォーレス・コレクション所蔵 『田園の気晴らし』
関連:ルーヴル美術館所蔵 『ニンフとサテュロス』


【全体図】
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観る者と視線を交わらせる女。画家は円熟期となる1715年頃以降、このような広大な緑深い林や森を思わせる庭の中に群集を配した作品を数多く手がけるようになり、本作はその代表的な作例のひとつとして知られている。



【観る者と視線を交わらせる女】
寝そべる男と会話する若い女性。本作の豊潤な色彩や計算された画面構成と遠近描写、画家独特の憂いとある種の寂しさを感じさせる場面表現は、小画面(32.5×46.5cm)とは思えないほど秀逸な出来栄えを見せており、観る者を強く惹きつける。



【寝そべる男と会話する若い女性】
横たわり眠りにつく女性の彫像。雅宴画ではお馴染みとなる女性の彫像の横たわり眠りにつく姿態は、画家によって本作の数年前頃に制作されたと推測されるルーヴル美術館所蔵の『ニンフとサテュロス』との類似性が指摘されている。



【横たわり眠りにつく女性の彫像】

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