Description of a work (作品の解説)
2008/04/10掲載
Work figure (作品図)
■ 

水浴するディアナ(ディアナの水浴)


(Diane au bain) 1715-1716年頃
80×101cm | 油彩・板 | ルーヴル美術館(パリ)

ロココ美術の画家アントワーヌ・ヴァトーを代表する神話画作品のひとつ『水浴するディアナ(ディアナの水浴)』。本作に描かれるのはローマ神話から主神ユピテルと巨人族の娘レトとの間に生まれた双子のひとり(もう一方は太陽神アポロ)で、多産や狩猟を象徴する地母神であり、純潔の象徴でもある女神≪ディアナ(ディアナはギリシア神話のアルテミスと同一視される)≫が水浴をする姿である。本作には弓も狩猟で得た獲物も描かれていないが、水浴する女性の傍らには狩猟のアトリビュートである≪矢筒≫が配されていることから、この女神がディアナであることが判明した。画面中央やや左に配される狩猟の女神ディアナは、小さな泉の辺に座り、足を洗っている。片足をもう一方の膝の上に乗せ、斜め後ろを振り返りながら両手で足首あたりを白布で拭くその姿は、観る者を魅了せずにはいられないほど艶かしく、生々しい光沢を感じる色彩も手伝って非常に官能的である。このような直接的な(あからさまな)官能的裸婦表現はヴァトーの作品の中でも非常に珍しく、画家の作品や様式研究をおこなう場合でも本作は重要視されている。また本作に描かれる画面背景(そして遠景)の風景描写の、生涯病身であった画家の心情を反映したかのようなやや寂寞さや憂鬱性を感じさせる独特な雰囲気(これは神話画としては特に異例的である)や、抑制的でありながら調和性豊かな色彩は白眉の出来栄えである。


【全体図】
拡大表示
斜め後ろを振り返る狩猟の女神ディアナの官能的な視線。本作に描かれるのはローマ神話から主神ユピテルと巨人族の娘レトとの間に生まれた双子のひとり(もう一方は太陽神アポロ)で、多産や狩猟を象徴する地母神であり、純潔の象徴でもある女神ディアナである。



【狩猟の女神ディアナの官能的な視線】
やや寂寞さや憂鬱性を感じさせる独特な風景描写。本作に描かれる画面背景(そして遠景)の風景描写の、生涯病身であった画家の心情を反映したかのようなやや寂寞さや憂鬱性を感じさせる独特な雰囲気や、抑制的でありながら調和性豊かな色彩は白眉の出来栄えである。



【寂寞さや憂鬱性を感じさせる風景描写】
狩猟の女神ディアナの傍らに置かれる矢筒。本作には弓も狩猟で得た獲物も描かれていないが、水浴する女性の傍らには狩猟のアトリビュートである≪矢筒≫が配されていることから、この女神がディアナであることが判明した。



【ディアナの傍らに置かれる矢筒】
水面へと浸けられるディアナの足。片足をもう一方の膝の上に乗せ、斜め後ろを振り返りながら両手で足首あたりを白布で拭くその姿は、観る者を魅了せずにはいられないほど艶かしく、生々しい光沢を感じる色彩も手伝って非常に官能的である。



【水面へと浸けられるディアナの足】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ