Description of a work (作品の解説)
2008/02/24掲載
Work figure (作品図)
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田園の恋人たち(羊飼いたち)


(Les Bergers) 1716-1717年頃
56×81cm | 油彩・板 | シャルロッテンブルク城(ベルリン)

ロココ美術の画家アントワーヌ・ヴァトーを代表する作品のひとつ『田園の恋人たち(羊飼いたち)』。依頼主など作品制作の経緯や意図などは不明であるも、古くから画家を代表する作品として親しまれている本作は、伝統的な田園風景の中で求愛をおこなう男女の姿を描いた作品である。画面中央では若い一組の男女がダンスを踊っており、その姿は生命感と躍動感に溢れている。その左側(画面左部分)にはダンスに合わせてミュゼット(フランスの地方の民族楽器でバグパイプの一種)を奏でる男や男女の踊りを愉快げに観る人々が描かれている。さらにその中には女性の乳房を背後から掴む男と、それを払い除けようとする女の姿や、股を(本作を観る者へ向けて)広げる一匹の犬なども配されており、ここまで直接的で露骨な性的表現がされるのは画家の作品の中でも特に珍しい。その奥にはブランコに乗る女の後姿が描かれ、その傍らでは若い男が何やら話しかけているようである。素朴的で自然に溢れた田園風景に描かれるからこそ、本作では雅宴画(フェート・ギャラント)では見られない人々の純粋な生命の力が感じられるのである。また調和的な色彩によって表される風景そのものの描写や、風景に溶け込む羊群の牧歌的な雰囲気も極めて優れた表現である。なおヴァトーは本作を手がける前にひとまわり小さな寸法で同内容の作品『田園の楽しみ(田園の愉しみ)』を制作しており、本作はそのヴァリアント的な作品であるとの解釈が一般的である。

関連:コンデ美術館所蔵 『田園の楽しみ(田園の愉しみ)』


【全体図】
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躍動的にダンスを踊る若い一組の男女。依頼主など作品制作の経緯や意図などは不明であるも、古くから画家を代表する作品として親しまれている本作は、伝統的な田園風景の中で求愛をおこなう男女の姿を描いた作品である。



【躍動的にダンスを踊る若い一組の男女】
音楽を奏でる男とダンスを眺める人々。画面中央では若い一組の男女がダンスを踊っており、その姿は生命感と躍動感に溢れている。その左側(画面左部分)にはダンスに合わせてミュゼット(フランスの地方の民族楽器でバグパイプの一種)を奏でる男や男女の踊りを愉快げに観る人々が描かれている。



【音楽を奏でる男とダンスを眺める人々】
本作を観る者へ向けて股を広げる一匹の犬。本作には女性の乳房を背後から掴む男と、それを払い除けようとする女の姿や、股を(本作を観る者へ向けて)広げる一匹の犬なども配されており、ここまで直接的で露骨な性的表現がされるのは画家の作品の中でも特に珍しい。



【股を広げる一匹の犬】

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