Description of a work (作品の解説)
2009/05/24掲載
Work figure (作品図)
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スペイン王家の栄光(スペイン王家の称揚)


(Apoteosi della monarchia spagnola) 1762-66年
約1500×900cm | フレスコ | マドリッド王宮

18世紀イタリアにおける最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの集大成的な作品『スペイン王家の栄光(スペイン王家の称揚)』。本作はスペイン国王カルロス3世の招きでマドリッドへ赴いたティエポロが、1762年から1766年にかけて制作したマドリッド王宮の天井装飾画のひとつである。この頃のスペイン美術界は新古典主義が台頭し、ティエポロの様式はやや軽視傾向にあったが故、制作環境としては満足できるものではなく、一連のマドリッド王宮装飾画全体としてはやや抑制的表現が目立つものの、その中で画家の華々しく豊潤な表現が際立つ本作『スペイン王家の栄光(スペイン王家の称揚)』は特筆に値するものである。楕円形の巨大天井画面のほぼ中央へは太陽神アポロンが笛を手にしながら戦車に乗る姿が配され、その左下へは玉座に鎮座する女性の姿をしたスペイン君主の擬人像が(その正統性を示す)王冠を授けられようとする光景が描き込まれている。さらにその右下へはスペイン王国そのものの擬人像が、富や権力、栄光、そして貞淑を象徴する塔と共に天上へと上昇しスペイン王国の絶対的な栄光を表している。本作の濃密で輝きを帯びた明瞭な色彩表現や軽快で高揚的な筆触、典雅で優美な場面表現、遠近法や仰視法を用いた大気感に溢れた空間構成と描写など、ティエポロが長年培ってきた表現方法を駆使し構築された本作の世界観や芸術性は、諸外国まで名を轟かせていたティエポロの画家としての集大成的作品に相応しい完成度を示しており、現在も我々観る者を驚愕させる。


【全体図】
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笛を手にする太陽神アポロンの姿。一連のマドリッド王宮装飾画全体としては制作環境としては満足できるものではなかったこともあり、やや抑制的表現が目立つものの、その中で画家の華々しく豊潤な表現が際立つ本作『スペイン王家の栄光(スペイン王家の称揚)』は特筆に値するものである。



【笛を手にする太陽神アポロン】
王冠を授かるスペイン君主の堂々とした姿。楕円形の巨大天井画面のほぼ中央へは太陽神アポロンが笛を手にしながら戦車に乗る姿が配され、その左下へは玉座に鎮座する女性の姿をしたスペイン君主の擬人像が(その正統性を示す)王冠を授けられようとする光景が描き込まれている。



【王冠を授かるスペイン君主】
塔と共に天上へと上昇するスペイン国の擬人像。本作の濃密で輝きを帯びた明瞭な色彩表現や軽快で高揚的な筆触、典雅で優美な場面表現、遠近法や仰視法を用いた大気感に溢れた空間構成と描写など、ティエポロが長年培ってきた表現方法を駆使し構築された本作の世界観や芸術性は、ティエポロの画家としての集大成的作品に相応しい完成度を示している。



【天上へと上昇するスペイン国の擬人像】

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