Description of a work (作品の解説)
2009/03/11掲載
Work figure (作品図)
■ 

聖シモン・ストックに現れる聖母子

 1740-44年
(The Virgin appearing to blessed simon stock)
533×342cm | 油彩・画布 | スクオラ・グランデ・ディ・カルミニ

18世紀イタリアで最も偉大な画家のひとりジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの傑作『聖シモン・ストックに現れる聖母子』。ヴェネツィアのスクオーラ・グランデ・ディ・カルミニのための装飾天井画のひとつとして制作された本作に描かれる主題は、キリスト教カトリックの一派であるカルメル会の托鉢修道士であり、同会6代目の総長でもあるイングランド出身の聖人シモン・ストックの奇跡的幻視体験≪聖母から茶色のスカプラリオ(袖無し肩衣。聖母の聖衣として知られる)を授かる聖シモン・ストック≫である。本主題は1251年7月16日にケンブリッジに滞在していたシモン・ストックの下へ聖母子が現れ、茶色のスカプラリオ(スカプラ)を渡すと共に、同肩衣を身に着ける死者たちの救霊を約束したとされる逸話で、この茶色のスカプラリオはその後、カルメル会の重要な教義として扱われるようになった。本作では天上から降臨する聖母マリアと幼子イエスを中心に、(聖母子が伴った)天使より茶色のスカプラリオを授かるシモン・ストックと、墓場で仰々しい苦悶の表情を浮かべる死者たちの姿が仰視法(ソッティンスー。極端な短縮法を用いて人物が上から観る者を見下ろしているかのように表現する描写法)によって見事に描き出されている。画面中央やや右側へ配される複数の天使らを引き連れた聖母子は後光を輝かせながら静粛で厳格的な表情を浮かべている。その対角線上となる画面左下へは聖母子の出現に跪く白衣の聖シモン・ストックが描かれているが、聖シモン・ストックの姿態はそのまま、さらに画面右下へと描き込まれる墓場の死者たちの姿へと視線を導く効果を生み出している。


【全体図】
拡大表示
天上から降臨する聖母マリアと幼子イエス。ヴェネツィアのスクオーラ・グランデ・ディ・カルミニのための装飾天井画のひとつとして制作された本作に描かれる主題は、カルメル会の聖人シモン・ストックの奇跡的幻視体験≪聖母から茶色のスカプラリオを授かる聖シモン・ストック≫である。



【降臨する聖母マリアと幼子イエス】
茶色のスカプラリオを授かるシモン・ストック。本主題は1251年7月16日にケンブリッジに滞在していたシモン・ストックの下へ聖母子が現れ、茶色のスカプラリオ(スカプラ)を渡すと共に、同肩衣を身に着ける死者たちの救霊を約束したとされる逸話である。



【スカプラリオを授かるシモン・ストック】
墓場の死者たちの恐々とした表情。天上から降臨する聖母マリアと幼子イエスを中心に、天使から茶色のスカプラリオを授かるシモン・ストックと、墓場で仰々しい苦悶の表情を浮かべる死者たちの姿が仰視法によって見事に描き出されている。



【墓場の死者たちの恐々とした表情】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ