Description of a work (作品の解説)
2008/09/07掲載
Work figure (作品図)
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ロザリオの制定

 (Istituzione del Rosario)
1737-39年 | 1400×450cm | 油彩・画布
サンタ・マリア・デイ・ジェズアーティ聖堂(ヴェネツィア)

18世紀に生地イタリアやドイツ、スペインなど諸外国で活躍したヴェネツィア派最後の大画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ1730年代を代表する天井画作品『ロザリオの制定』。本作は聖ドミニコ修道会の依頼により同会のサンタ・マリア・デイ・ジェズアーティ聖堂の天井画として制作された作品である。本作に描かれるのはスペインのカスティリャ地方の貴族出身で、ロザリオを用いた祈祷信仰で有名な聖ドミニコ修道会の創始者≪聖ドミニクス(ドミンゴ)≫が、ロザリオを掲げることによって異端者らを退け、信仰者らにロザリオの有効性を示す場面≪ロザリオの制定≫である。画面中央やや下部に配される聖ドミニクスは複数の天使らが上空を舞う中、右手でロザリオを掲げ、画面下部に描かれる異端者らを退けている。聖ドミニクスの周囲には信仰者や民衆が聖ドミニクスの掲げるロザリオに手を伸ばし聖ドミニクスの奇蹟を称え敬っている。本作で最も注目すべき点は聖ドミニクスがロザリオを掲げる舞台のイリュージョン的な空間構成と構築にある。ロザリオを中心に幅広の階段と画面左側の二本の太円柱を描き込むことによって天井画ながら非常に遠近感と立体感に富んだ三次元的な場面を展開させており、観る者にこの聖ドミニクスが起こした奇蹟の所業の劇的な瞬間を存分に感じさせる(疑似体験させる)。また画面中央と上部に向けて輝度と明度が増してゆくティエポロ独特の軽やかで調和的な色彩や、群像が配される画面下部分とは対照的に無限の広がりを感じさせる画面上部の空間構成も、それらをより強調させる効果を発揮しており、本作にはティエポロの装飾壁画家としての高い力量が明確に示されている。


【全体図】
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ロザリオを掲げ異端者を排除する聖ドミニクス。本作に描かれるのはロザリオを用いた祈祷信仰で有名な聖ドミニコ修道会の創始者≪聖ドミニクス(ドミンゴ)≫が、ロザリオを掲げることによって異端者らを退け、信仰者らにロザリオの有効性を示す場面≪ロザリオの制定≫である。



【ロザリオを掲げる聖ドミニクス】
聖ドミニクスの掲げるロザリオに手を伸ばす信仰者や民衆。ロザリオを掲げ異端者らを退けている聖ドミニクスの周囲には信仰者や民衆が聖ドミニクスの掲げるロザリオに手を伸ばし聖ドミニクスの奇蹟を称え敬っている



【ロザリオに手を伸ばす信仰者や民衆】
ロザリオによって退けられる異端者。ロザリオを中心に幅広の階段と画面左側の二本の太円柱を描き込むことによって天井画ながら非常に遠近感と立体感に富んだ三次元的な場面を展開させており、観る者にこの聖ドミニクスが起こした奇蹟の所業の劇的な瞬間を存分に感じさせる(疑似体験させる)。



【ロザリオによって退けられる異端者】
軽やかに天上(天井)を舞う天使たち。画面中央と上部に向けて輝度と明度が増してゆくティエポロ独特の軽やかで調和的な色彩や、群像が配される画面下部分とは対照的に無限の広がりを感じさせる画面上部の空間構成も、それらをより強調させる効果を発揮している。



【軽やかに天上(天井)を舞う天使たち】

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