Description of a work (作品の解説)
2009/06/26掲載
Work figure (作品図)
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聖パスクアル・バイロンの幻視(天使による聖体拝受)


(Visione di San Paschal Baylon) 1769-1770年
185×188cm,153×112cm | 油彩・画布 | プラド美術館

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの遺作との推測される最晩年期の作品『聖パスクアル・バイロンの幻視(天使による聖体拝受)』。スペインのサン・パスクアル・バイロン聖堂のために制作された7点から構成される連作祭壇画の中の1点の断片である本作は、フランシスコ会信徒修道士で、聖体信仰の守護者でもあるスペイン出身の聖人≪パスクアル・バイロン≫の幻視体験の場面を描いた祭壇画である。画家の息子ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロの残した手紙に典拠を得れば1769年に、同氏が刊行した版画に典拠を得れば1770年に完成したとされる本作は、同時期の急速な新古典主義の台頭によって無残にも切り取られた後、同派を代表する画家ラファエル・メングスらの作品などと置き換えられたという非常に嘆かわしい目に遭っているものの、残された断片からも最晩年期のティエポロの見事な表現様式を見出すことができる。下部を構成する断片には本祭壇画の画題となる聖パスクアル・バイロンが両手を合わせながら上空に現れた天使へと視線を向けている姿が丹念な筆致によって描き込まれている。もうひとつの(上部を構成する)断片には聖パスクアル・バイロンの前に姿を顕示した天使が、教会を示しているのであろう金色に輝く教会の模型を手にしながら聖パスクアル・バイロンへと視線を向けている。その周囲には幼児の頭部のみで表現された小天使たちが複数配されており、本場面の感動性を盛り上げている。本作で注目すべき点は明瞭な光を感じさせえる明暗対比の描写と、軽やかでありながら豊潤さも兼ね備える色彩の表現にある。特に上部断片の天使の翼における純白の清潔性と、神の威光を思わせる黄金の模型を中心とした黄橙色の神秘的描写は、本場面の聖性を見事に表現しており、今なお観る者を惹きつける。


【全体図】
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聖パスクアル・バイロンの前に現れる天使。本作は、同時期の急速な新古典主義の台頭によって無残にも切り取られた後、同派を代表する画家ラファエル・メングスらの作品などと置き換えられたという非常に嘆かわしい目に遭っている。



【パスクアル・バイロンの前に現れる天使】
光り輝く黄金の教会の模型。上部を構成する断片には聖パスクアル・バイロンの前に姿を顕示した天使が、教会を示しているのであろう金色に輝く教会の模型を手にしながら聖パスクアル・バイロンへと視線を向けている。



【光り輝く黄金の教会の模型】
現れた天使へと視線を向ける聖パスクアル・バイロン。スペインのサン・パスクアル・バイロン聖堂のために制作された7点から構成される連作祭壇画の中の1点の断片である本作は、フランシスコ会信徒修道士で、聖体信仰の守護者でもあるスペイン出身の聖人≪パスクアル・バイロン≫の幻視体験の場面を描いた祭壇画である。



【現れた天使へと視線を向ける聖人】

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