Description of a work (作品の解説)
2009/02/15掲載
Work figure (作品図)
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マンドリンを持つ若い娘

 (Girl with Mandolin) 1758-60年
98.08×74.93cm | 油彩・画布 | デトロイト美術館

18世紀のイタリア絵画界における最大の画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロが手がけた人物画の傑作『マンドリンを持つ若い娘』。1758年から1760年頃に制作された画家晩年期の作品である本作は、17世紀頃から使用されていた無花果や洋梨を縦割りにした胴形が特徴的なイタリア発祥の撥弦楽器≪マンドリン≫を調弦する若い女性の半身像を描いた作品である。肖像画として手がけられた作品であるかなど制作動機や目的は現在も議論が続けられている本作に描かれる若い娘は、観る者のやや上方に視線を向けながら左手でマンドリンの糸巻を回しながら調弦をおこなっている。その艶かしく魅惑的な視線や赤味の差す健康的な頬などはティエポロ独特の軽やかな筆触によって繊細に描写されており、非常に整った顔立ちと共に観る者を強く惹きつける。さらに時としてルネサンスヴェネツィア派の偉大なる巨匠ティツィアーノのヴィーナス像に匹敵するほどの官能性と美しさに溢れていると称えられる、半裸となった若い娘の白く輝く肌の質感や優雅な姿態の表現は、ティエポロの作品の中でも傑出した完成度を示している。また本作の色彩表現も特に注目すべき点のひとつである。若い娘の輝きに満ちた上半身の肌の色彩や頭部の鮮やかな黄色と対比するかのように、衣服に青布を加えるほか背景に緑褐色を用いているなど、気品漂う本作においても極めて高度な色彩計画が認められる。さらに画面右下へ黄土色の厚布を配置することによって画面全体での明確な色彩対比を生み出しているほか、マンドリンとの色彩的連続性を与えることに成功している。なお同年頃に制作された『オウムを手にする娘(鸚鵡を抱える若い女性)』もティエポロの人物画における代表的な作例として広く認知されている。

関連:『オウムを手にする娘(鸚鵡を抱える若い女性)』


【全体図】
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若い娘の赤味の差し込んだ頬と魅惑的な視線。制作動機や目的は現在も議論が続けられている本作に描かれる若い娘の、艶かしく魅惑的な視線や赤味の差す健康的な頬などはティエポロ独特の軽やかな筆触によって繊細に描写されており、非常に整った顔立ちと共に観る者を強く惹きつける。



【赤味の差し込んだ頬と魅惑的な視線】
白く輝く肌の優美な質感。時としてルネサンスヴェネツィア派の偉大なる巨匠ティツィアーノのヴィーナス像に匹敵するほどの官能性と美しさに溢れていると称えられる、半裸となった若い娘の白く輝く肌の質感や優雅な姿態の表現は、ティエポロの作品の中でも傑出した完成度を示している。



【白く輝く肌の優美な質感】
調弦する指先の繊細な描写。1758年から1760年頃に制作された画家晩年期の作品である本作は、17世紀頃から使用されていた無花果や洋梨を縦割りにした胴形が特徴的なイタリア発祥の撥弦楽器≪マンドリン≫を調弦する若い女性の半身像を描いた作品である。



【調弦する指先の繊細な描写】

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