Description of a work (作品の解説)
2008/02/08掲載
Work figure (作品図)
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フローラの勝利(フローラの帝国)


(Trionfo di Flora) 1743-1744年
71.8×89cm | 油彩・画布 | サンフランシスコ美術館

18世紀イタリアの画家の中で最も名を残した巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの代表的な作品のひとつ『フローラの勝利(フローラの帝国)』。ヴェネツィアの文筆家であり鑑定家でもあったフランチェスコ・アルガロッティが、ザクセン選帝侯アウグスト3世に美術顧問として仕えていたハインリヒ・フォン・ブリュール伯爵に贈呈し、ヴェネツィアとザクセン選帝侯の宮廷都市ドレスデンの友好的な関係を得ようとする為に、ティエポロへ注文された作品で、本作と共に、対画として『皇帝アウグストゥスに諸芸術を示すマエケナス(エルミタージュ美術館所蔵)』が制作されている。本作に描かれる場面に関しては諸説唱えられているものの、画面左下に描かれる二人の男の姿を、イタリアの著名な叙事詩人トルクァート・タッソの傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫に登場する、将軍リナルドの従者カルロとウバルドとする説が有力視されており、『皇帝アウグストゥスに諸芸術を示すマエケナス』では、当時ブリュール伯爵が選帝侯アウグスト3世に諸芸術の保護を求めていた姿を古典的な典拠に準え、より明確に示しているのに対して、本作では同じく古典的な典拠を用いながらも、将軍リナルドが魔女アルミーダの魅力に取り付かれたかのように、絵画そのものに対しての芸術的価値を示しているかのようである。また画面右端で踊る女の描写については、フランス古典主義の巨匠ニコラ・プッサンによる同名の作品『フローラの勝利』に着想を得たとの推測もされている。本作の赤色、青色、黄色という三原色を大胆に起用した、ロココ様式特有の軽快かつ優美に満ちた輝くような色彩や、画面全体から醸し出される豊潤な官能美に、画家の極めて高度な力量を感じさせる。

関連:対画 『皇帝アウグストゥスに諸芸術を示すマエケナス』
関連:ニコラ・プッサン作 『フローラの勝利


【全体図】
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豊潤な官能性に溢れた裸体の女性。本作はヴェネツィアの文筆家であり鑑定家でもあったフランチェスコ・アルガロッティが、ザクセン選帝侯アウグスト3世に美術顧問として仕えていたハインリヒ・フォン・ブリュール伯爵に贈呈し、ヴェネツィアとザクセン選帝侯の宮廷都市ドレスデンの友好的な関係を得ようとする為に、ティエポロへ注文された作品である。



【豊潤な官能性に溢れた裸体の女性】
軽やかに上空を飛ぶキューピッド。本作の赤色、青色、黄色という三原色を大胆に起用した、ロココ様式特有の軽快かつ優美に満ちた輝くような色彩や、画面全体から醸し出される豊潤な官能美に、画家の極めて高度な力量を感じさせる。



【軽やかに上空を飛ぶキューピッド】
将軍リナルドの従者カルロとウバルドの姿。本作に描かれる場面に関しては諸説唱えられているものの、画面左下に描かれる二人の男の姿を、イタリアの著名な叙事詩人トルクァート・タッソの傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫に登場する、将軍リナルドの従者カルロとウバルドとする説が有力視されている。



【将軍リナルドの従者カルロとウバルド】

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