Description of a work (作品の解説)
2008/05/05掲載
Work figure (作品図)
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聖母の教育

 (Educazione della Vergine)
1732年 | 362×200cm | 油彩・画布
サンタ・マリア・デラ・ファーヴァ聖堂(ヴェネツィア)

18世紀イタリア絵画随一の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ初期の代表的な的宗教画作品のひとつ『聖母の教育』。ヴェネツィアのサンタ・マリア・デラ・ファーヴァ聖堂(正式名称はサンタ・マリア・デラ・コンソラツィオーネ聖堂)の祭壇画として制作された本作の主題は、(聖母マリアの)母アンナが聖書を用いて幼き聖母マリアに読み書きを教える場面≪聖母の教育≫である。新約聖書外典では、聖母マリアは3歳から14歳まで神殿内で天使らの世話を受けながら育ったとされており、聖書が書物の形図がとられていることも含め、本作に描かれる場面描写にはあきらかな矛盾や時代錯誤が生じているものの、15-16世紀頃、本格的に一般へと普及した本主題では、この矛盾点に関してはほぼ問題視されていない。ティエポロは本作を手がける前に、画家が強く影響を受けていた同時代の画家ジョヴァンニ・バティスタ・ピアツェッタが1725-26年に本作同様、デラ・ファーヴァ聖堂のために制作した傑作『聖フィリッポ・ネリに顕現した聖母マリア』を見ていたが、本作にはピアツェッタの表現様式を踏襲しつつも次第にその影響から離れ、独自の様式へと変貌してゆく画家の姿が示されている。画面中央では、白色の服と青衣を身に着ける幼き聖母マリアが聖書を広げ、隣に寄り添う母マリアから教えを受けている。画面の中で最も明るく強い光に照らされる聖母幼マリアの輝くような色彩や、演劇性と非現実的な叙情性は秀逸の出来栄えを示しており、画面上下に配される天使らの描写と共に観る者を魅了する。また聖母の白色・青色を中心に、画面下部へは母アンナの衣服の緑色と黄色が、その対角線上に聖母マリアの父であるヨアキムが身に着ける濃紺と赤色が配され、そしてさらに画面上部へは天使らが黄色・赤色・青色の衣服(衣布)を持ってる。この絶妙な配色こそ、画家の類稀な色彩感覚の表れであり、この特徴的な色彩表現は、その後の作品でより一層、花開いてゆくことになる。

関連:ピアツェッタ作 『聖フィリッポ・ネリに顕現した聖母マリア』


【全体図】
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母アンナに教えを受ける幼き聖母マリアの姿。ヴェネツィアのサンタ・マリア・デラ・ファーヴァ聖堂の祭壇画として制作された本作の主題は、(聖母マリアの)母アンナが聖書を用いて幼き聖母マリアに読み書きを教える場面≪聖母の教育≫である。



【母アンナに教えを受ける幼き聖母マリア】
聖母マリアが指差す聖書の一場面。本作には同時代を代表する画家ジョヴァンニ・バティスタ・ピアツェッタの表現様式を踏襲しつつも、次第にその影響から離れ、独自の様式へと変貌してゆく画家の姿が示されている。



【聖母マリアが指差す聖書の一場面】
聖母マリアと母アンナの上部へ配される天使。画面の中で最も明るく強い光に照らされる聖母幼マリアの輝くような色彩や、演劇性と非現実的な叙情性は秀逸の出来栄えを示しており、画面上下に配される天使らの描写と共に観る者を魅了する。



【聖母マリアの上部へ配される天使】
絶妙に配色される豊かな色彩。本作の黄色・赤色・青色・緑色など色度の強い色の絶妙な配置こそ、画家の類稀な色彩感覚の表れであり、この特徴的な色彩表現は、その後の作品でより一層、花開いてゆくことになる。



【絶妙に配色される豊かな色彩】

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