Description of a work (作品の解説)
2008/11/03掲載
Work figure (作品図)
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アルミーダと眠るリナルド


(Armida rapisce Rinaldo dormiente) 1742年
187.5×216.8cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

18世紀イタリア絵画の大画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作『アルミーダと眠るリナルド』。本作は16世紀イタリアを代表する詩人トルクァート・タッソが手がけた傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫の中の一場面で、敵対する十字軍を混乱させた魔女アルミーダが将軍リナルドによって退けられ、その復讐として魔法で将軍リナルドを眠らせ短剣で刺すことを試みるも、眠るリナルドの美しい姿に心を奪われ(恋をし)、己が所有する宮殿に誘拐してゆく場面≪眠るリナルドを誘惑する魔女アルミーダ≫を描いた作品である。ティエポロはその生涯の中で本主題の作品を数多く制作していることがよく知られているが、本作に描かれる将軍リナルドと魔女アルミーダの甘美性が漂う官能的表現はそれらの作品群の中でも秀逸の出来栄えを示している。画面中央やや右下側に描かれる将軍リナルドは魔女アルミダの魔法によって安らかな眠りについており、その姿は純真無垢な幼子を彷彿とさせる。一方、その対角線上となる画面中央やや左上側には白煙を立たせる馬車に乗った魔女アルミーダが将軍リナルドの美貌に魅了され、従者に将軍リナルドを宮殿へ連れ去るよう指示している。両者の曲線的で流麗な姿態の対比や、従者と矢筒を持った天使との位置的関係性に対する絶妙な距離感は見所の多い本作の中でも特に注目すべき点であり、ティエポロの絵画展開のひとつの典型を読み取ることができる。また本作に用いられる色彩の鮮やかな表現や明瞭な光の描写も特筆に値する出来栄えであり、特に将軍リナルドの身に着ける鮮明な青色の衣服と魔女アルミーダの軽やかな衣服の黄色などに見られる色彩的対比は圧巻の一言である。


【全体図】
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リナルドの美貌に心奪われる魔女アルミーダ。本作は16世紀イタリアを代表する詩人トルクァート・タッソが手がけた傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫の中の一場面≪眠るリナルドを誘惑する魔女アルミーダ≫を描いた作品である。



【リナルドの美貌に心奪われるアルミダ】
魔女アルミーダの魔法によって安らかに眠る将軍リナルド。ティエポロはその生涯の中で本主題の作品を数多く制作していることがよく知られているが、本作に描かれる将軍リナルドと魔女アルミーダの甘美性が漂う官能的表現はそれらの作品群の中でも秀逸の出来栄えを示している。



【安らかに眠る将軍リナルド】
色彩の鮮やかな表現や明瞭な光の描写。曲線的で流麗な姿態の対比や、従者と矢筒を持った天使との位置的関係性に対する絶妙な距離感は見所の多い本作の中でも特に注目すべき点であり、画家の絵画展開のひとつの典型を読み取ることができる。



【鮮やかな色彩や明瞭な光の描写】

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