Description of a work (作品の解説)
2009/05/07掲載
Work figure (作品図)
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洗礼者聖ヨハネの斬首

 (Decollazione) 1732-33年
約350×500cm | フレスコ | コッレオーニ礼拝堂(ベルガモ)

18世紀イタリア絵画最大の巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの類稀な傑作『洗礼者聖ヨハネの斬首』。ベルガモのコッレオーニ一族のアマデーオのための礼拝堂の装飾画のひとつ(入口上部リュネット)として制作された本作に描かれる主題は、ヘロデ王の娘サロメが王の前で踊りその褒美として洗礼者聖ヨハネの首を求めたことから、ユダヤの民を惑わしたとの罪や、王族の近親婚を否定した罪で投獄されていた、神の子イエスに洗礼を施した洗礼者であり、旧約聖書における最後の予言者でもある≪洗礼者聖ヨハネ≫が斬首の刑に処される場面≪洗礼者聖ヨハネの斬首≫である。画面中央から左側には今まさに斬首の刑に処された洗礼者聖ヨハネの肉体と執行人によって持ち上げられたヨハネの首が配されており、その首からは赤々とした鮮血が滴っている。画面最左側には洗礼者の首を乗せるための銀の盆を手にした従者(老婆)が斬首された首を見上げている姿が描き込まれている。画面中央から左側には斬首された洗礼者聖ヨハネの首の扱いを指示するヘロデ王の娘サロメを中心の複数の人物が配されているが、サロメの背後に描かれる女性だけは洗礼者の無残な姿を悲しむかのように目を覆う仕草を見せている。本作で最も注目すべき点は透明感に溢れた瑞々しく輝きを放つ色彩表現と、やや誇張的に描き込まれた人物の劇的な描写にある。特に斬首された洗礼者聖ヨハネの完全に生命が断ち切られた肉体の力無き描写やグロテスクな鮮血の表現、土気色の聖ヨハネの首などは不快的にもかかわらず観る者の目を釘付けにする。また画家の確固たる形体描写によって構成される各人物の鮮やかな衣服の色彩も観る者を惹きつける大きな要因となっている。


【全体図】
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執行人によって斬首された洗礼者聖ヨハネ。ベルガモのコッレオーニ一族のアマデーオのための礼拝堂の装飾画のひとつ(入口上部リュネット)として制作された本作の主題は≪洗礼者聖ヨハネの斬首≫である。



【執行人によって斬首された聖ヨハネ】
洗礼者の首の扱いを指示するヘロデ王の娘サロメ。本作で最も注目すべき点は画家の確固たる形体描写によって構成される各人物の透明感に溢れた瑞々しく輝きを放つ色彩表現と、やや誇張的に描き込まれた人物の劇的な描写にある。



【洗礼者の首の扱いを指示するサロメ】
洗礼者の首を乗せるための銀の盆を手にした従者(老婆)。特に斬首された洗礼者聖ヨハネの完全に生命が断ち切られた肉体の力無き描写やグロテスクな鮮血の表現、土気色の聖ヨハネの首などは不快的にもかかわらず観る者の目を釘付けにする。



【銀の盆を手にした従者】
洗礼者の無残な姿を悲しむかのように目を覆う仕草を見せる女性。画面中央から左側には斬首された洗礼者聖ヨハネの首の扱いを指示するヘロデ王の娘サロメを中心の複数の人物が配されているが、サロメの背後に描かれる女性だけは洗礼者の無残な姿を悲しむかのように目を覆う仕草を見せている。



【目を覆う仕草を見せる女性】

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