Description of a work (作品の解説)
2008/09/26掲載
Work figure (作品図)
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ダナエとユピテル

 (Danae e Giove) 1735-36年頃
41×53cm | 油彩・画布 | ストックホルム大学美術史研究所

18世紀のイタリアにおいて最大の巨匠であり、かつ古典絵画最後の巨匠となったジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ初期の美しい神話画作品『ダナエとユピテル』。本作に描かれる主題はアルゴス王アクリシオスの娘ダナエに恋をした主神ユピテルが、黄金の雨に姿を変えダナエの下へ降り立ち愛を成熟させるという、新約聖書に記される受胎告知の原型とも推測されるほど有名な神話上の逸話≪ユピテルとダナエ(この時、ダナエが授かったのが英雄ペルセウスとされる)≫で、主題に含まれるの官能的な様子や劇的な場面設定から、ティエポロの先人となる16世紀ヴェネツィア派の巨人ティツィアーノや、エミリア派の大画家コレッジョ、17世紀オランダ絵画黄金期のレンブラント・ファン・レインなど幾多の画家たちが本主題を手がけている。画面右上では黒雲に乗り黄金の雨を降らしながら主神ユピテルが金地の外套を翻しながらダナエの下へと姿を現している。一方、主神ユピテルの位置の対角線上となる画面左下に配されるダナエは寝具へ横たわり浅い眠りについており、その傍らでは幼い男児がユピテルの到来を告げるかのようにダナエの腰へ手を伸ばす仕草を見せている。そしてダナエとユピテルの間では老侍女が必死に黄金の雨を銀盆で受ける姿が描き込まれているほか、画面下部では立派な雄鷹と愛らしい子犬がユピテルとダナエの関係性の暗喩として対峙している。明暗対比の大きな光彩と陰影の描写や躍動感に溢れたダイナミックな構図展開、演劇的な登場人物の姿態、濃厚ながら輝きを帯びた色彩などは当時のティエポロの特徴を良く示しているほか、軽やかな筆触による独特の浮遊感や高揚的な場面の表現には、後にティエポロが手がけることになる一連の天井装飾画の傑作群を予感させる。


【全体図】
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黒雲に乗りダナエの下へと降り立つユピテル。本作に描かれる主題はアルゴス王アクリシオスの娘ダナエに恋をした主神ユピテルが、黄金の雨に姿を変えダナエの下へ降り立ち愛を成熟させるという、新約聖書に記される受胎告知の原型とも推測されるほど有名な神話上の逸話≪ユピテルとダナエ≫である。



【ダナエの下へと降り立つユピテル】
寝具に横たわり浅い眠りにつくダナエ。主神ユピテルの位置の対角線上となる画面左下に配されるダナエは寝具へ横たわり浅い眠りにつき、その傍らでは幼い男児がユピテルの到来を告げるかのようにダナエの腰へ手を伸ばす仕草を見せている。



【寝具に横たわり浅い眠りにつくダナエ】
必死に黄金の雨を集める老侍女。明暗対比の大きな光彩と陰影の描写や躍動感に溢れたダイナミックな構図展開、演劇的な登場人物の姿態、濃厚ながら輝きを帯びた色彩などは当時のティエポロの特徴を良く示しているほか、軽やかな筆触による独特の浮遊感や高揚的な場面の表現には、後の天井装飾画の傑作群を予感させる



【必死に黄金の雨を集める老侍女】

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