Description of a work (作品の解説)
2009/05/05掲載
Work figure (作品図)
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無知を踏みつけ、戦いの徳に冠を授けるミネルヴァ


(Trionfo della Sapienza sull'Ignoranza) 1717-18年
113×85cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀後半から18世紀前半にかけて活躍したヴェネツィア派の巨匠セバスティアーノ・リッチのフランス滞在期の代表作『無知を踏みつけ、戦いの徳に冠を授けるミネルヴァ(「無知」に対する「英知」の勝利、知恵の女神に扮したフランスの寓意)』。ロンドンなど諸外国を巡訪し、故郷ヴェネツィアへと帰郷する際に立ち寄ったパリで制作された本作は、無知の寓意を踏みつけながら、戦いの寓意(戦いの徳)へ黄金の冠を授けるローマ神話の女神ミネルヴァ(ギリシア神話のアテネと同一視される)を描いた作品で、同国の王立絵画・彫刻アカデミーの入会作としても知られている。画面中央よりやや左側へ配される黄色の衣服と勇ましい甲冑を身に着けた女神ミネルヴァは朱色の外衣を肩に掛けながら、戦いの寓意(戦いの徳)へと黄金の冠を授けると同時に勝利のメダル(記章)を与えようとしている。その表情は全ての者を圧倒するかのような堂々とした気品に満ち溢れており、観る者の視線を惹きつける。左手に細槍を持った戦いの寓意は恍惚(又は崇拝)の表情を浮かべながら女神ミネルヴァへと視線を向けている。さらに女神ミネルヴァの右足の下には褐色の裸体男性像で表現される無知の寓意が這い蹲りながら(無駄であろう)抵抗を試みている。そして数多くの有翼の天使らが配される画面上部には雲に乗る時の翁(サトゥルヌス)が配されている。本作の瑞々しく豊潤な色彩表現やダイナミズムに溢れた劇的な人物描写はセバスティアーノ・リッチ作品の特徴をよく示しており、この頃の画家の典型的な作例としても本作は重要視されている。なお女神ミネルヴァ又は戦いの徳を知恵の女神に扮したフランスの寓意像とする解釈も唱えられている。


【全体図】
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高貴な表情を浮かべる女神ミネルヴァの姿。本作は無知の寓意を踏みつけながら、戦いの寓意(戦いの徳)へ黄金の冠を授けるローマ神話の女神ミネルヴァ(ギリシア神話のアテネと同一視される)を描いた作品で、同国の王立絵画・彫刻アカデミーの入会作としても知られている。



【高貴な表情を浮かべる女神ミネルヴァ】
女神ミネルヴァへと視線を向ける戦いの徳(戦いの寓意)。黄色の衣服と勇ましい甲冑を身に着けた女神ミネルヴァは朱色の外衣を肩に掛けながら、戦いの寓意(戦いの徳)へと黄金の冠を授けると同時に勝利のメダル(記章)を与えようとしている。



【女神へと視線を向ける戦いの徳】
地面を這い蹲る無知の寓意像。女神ミネルヴァの右足の下には褐色の裸体男性像で表現される無知の寓意が這い蹲りながら(無駄であろう)抵抗を試みているほか、数多くの有翼の天使らが配される画面上部には雲に乗る時の翁が配されている。



【地面を這い蹲る無知の寓意像】
画面最上部に配される時の翁(サトゥルヌス)。本作の瑞々しく豊潤な色彩表現やダイナミズムに溢れた劇的な人物描写はセバスティアーノ・リッチ作品の特徴をよく示しており、この頃の画家の典型的な作例としても本作は重要視されている。



【画面最上部に配される時の翁】

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