Description of a work (作品の解説)
2009/08/15掲載
Work figure (作品図)
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連作:当世風結婚.1 ≪婚約万端整って≫


(Marriage à la Mode "The Marriage Contract") 1743年
68.5×89cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

英国近代絵画の父ウィリアム・ホガース随一の代表作『連作:当世風結婚』より第1の場面≪婚約万端整って≫。本作は1743年に制作、発表された教訓的・道徳的主題による連作風刺画≪当世風結婚≫の中の1点で、落ちぶれた貴族(伯爵家)と裕福な商人の政略的結婚の場面が描かれている。連作風刺画≪当世風結婚≫は、ある伯爵が散財の末に裕福な商人の娘と自分の息子を結婚させるものの、政略結婚であるが故、両者の間には愛情は育まれず、互いに愛人を作るものの、妻の不貞を知った夫が妻の不貞相手と騒動の末に殺害され、妻自身も罪の意識から自害してしまうという内容を6点の絵画で表現した連作で、第1場面である本作の画面右側には伯爵の家で婚姻の契約をおこなう伯爵と裕福な商人、立会人らが、そして画面左側には(主人公である)夫婦関係になる伯爵の息子と商人の娘などが描き込まれている。本作で最も注目すべき点は一見して関係性や抱いている感情が判断できる明確な人物の描写にある。婚姻の契約をおこなう裕福な商人は己の利益を確認するかのように契約書に目を通しており、伯爵は大金を前に尊大な振る舞いを見せている。一方、婚姻の当事者である若い息子と娘は互いに外方を向き、相手に対してまるで関心を示していない。そしてこの両者の関係性は若い息子の足下に描き込まれる(婚姻の象徴でもある)2匹の犬の描写にも見出すことができる。さらに壁に掛けられる複数の高価な絵画の中で最も観る者の目を惹き付けるバロック様式の巨匠カラヴァッジョによる『メドゥーサの首(自画像)』には、この婚姻の末路が暗示されると考えることができる。

関連:当世風結婚.2 ≪結婚してまだ日も浅いというのに≫
関連:当世風結婚.3 ≪インチキ医者に駆け込んで≫
関連:当世風結婚.4 ≪伯爵夫人は朝から御乱行≫
関連:当世風結婚.5 ≪狂刃に倒れた伯爵≫
関連:当世風結婚.6 ≪伯爵夫人は覚悟の自害≫


【全体図】
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大金を前に尊大な態度を見せる伯爵。本作は1743年に制作、発表された教訓的・道徳的主題による連作風刺画≪当世風結婚≫の中の1点で、落ちぶれた貴族(伯爵家)と裕福な商人の政略的結婚の場面が描かれている。



【尊大な態度を見せる伯爵】
念入りに婚姻契約書へ目を通す商人。連作風刺画≪当世風結婚≫は、ある伯爵が散財の末に裕福な商人の娘と自分の息子を結婚させるものの、政略結婚であるが故、両者の間には愛情は育まれず、互いに愛人を作るものの、妻の不貞を知った夫が妻の不貞相手と騒動の末に殺害され、妻自身も罪の意識から自害してしまうという内容を6点の絵画で表現した連作である。



【婚姻契約書へ目を通す商人】
花嫁を無視し外方を向く伯爵の息子。第1場面である本作の画面右側には伯爵の家で婚姻の契約をおこなう伯爵と裕福な商人、立会人らが、そして画面左側には(主人公である)夫婦関係になる伯爵の息子と商人の娘などが描き込まれている。



【花嫁を無視し外方を向く伯爵の息子】
結婚に無関心の花嫁。婚姻の当事者である若い息子と娘は互いに外方を向き、相手に対してまるで関心を示していない。そしてこの両者の関係性は若い息子の足下に描き込まれる(婚姻の象徴でもある)2匹の犬の描写にも見出すことができる。



【結婚に無関心の花嫁】

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