Description of a work (作品の解説)
2009/02/09掲載
Work figure (作品図)
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サン=ノン師の肖像


(Portrait de L'abbé de Saint-non) 1769年頃
81×65cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀後期を代表する画家ジャン・オノレ・フラゴナールによる人物画の傑作『サン=ノン師の肖像』。制作年代や様式等での類似点から現在までに15作品が確認されている≪フィギュール・ド・ファンテジー(幻想的肖像画)≫のひとつとして手がけられたと考えられている本作に描かれるのは、フラゴナールの重要なパトロンのひとりであった裕福な宮廷人僧侶出身の美術愛好家≪サン=ノン師(ジャン=クロード・リシャール)≫である。画面のほぼ中心に斜めに構えた姿で描かれるサン=ノン師は、見上げるように視線をやや上方へと向けており、その堂々とした姿や表情からは高貴で挑戦的にすら感じられる尊大性を見出すことができる。さらにサン=ノン師が身に着ける豪奢なスペイン風の演劇的衣服には当時の流行や傾向を顕著に感じられる。本作で特に注目すべき点は、輝くような光源処理によって明確に浮かび上がるサン=ノン師の衣服の色彩の見事さと自由闊達な筆触の加減にある。明確な明暗の対比を感じさせる光の表現によってサン=ノン師の衣服の青色と手袋などの赤色が見事に(やや暗い)画面の中で浮かび上がっており、さらに襟元や左手首の軽やかに重なる白色の薄布の襞と、黄色の布のアクセントが画面を絶妙に引き締める効果を発揮している。さらにそれらは瞬間を捉えたかのような動きの早い闊達な筆触で描写されており、本作に力強い生命力と活き活きとした躍動感を与えている。これらの表現はフラゴナールの典型的な様式として名高く、今なお人々を魅了し続けている。なおフラゴナールは本作以外にもほぼ同時期にサン=ノン師の肖像画を手がけており、その作品は現在、バルセロナ近代美術館に所蔵されている。

関連:バルセロナ近代美術館所蔵 『サン=ノン師の肖像』


【全体図】
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やや上方へと視線を向けるサン=ノン師。≪フィギュール・ド・ファンテジー(幻想的肖像画)≫のひとつとして手がけられた本作に描かれるのは、フラゴナールの重要なパトロンのひとりであった裕福な宮廷人僧侶出身の美術愛好家≪サン=ノン師(ジャン=クロード・リシャール)≫である。



【上方へと視線を向けるサン=ノン師】
見事な色彩の対比と闊達な筆触。明確な明暗の対比を感じさせる光の表現によってサン=ノン師の衣服の青色と手袋などの赤色が見事に画面の中で浮かび上がっており、さらに襟元や左手首の軽やかに重なる白色の薄布の襞と、黄色の布のアクセントが画面を絶妙に引き締める効果を発揮している。



【見事な色彩の対比と闊達な筆触】
軽やかで丸みを帯びた筆触で表現されるカツラ。本作に描かれるサン=ノン師は、見上げるように視線をやや上方へと向けており、その堂々とした姿や表情からは高貴で挑戦的にすら感じられる尊大性を見出すことができるほか、サン=ノン師が身に着ける豪奢なスペイン風の演劇的衣服には当時の流行や傾向を顕著に感じられる。



【軽やかで丸みを帯びた筆触】

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