Description of a work (作品の解説)
2008/09/24掲載
Work figure (作品図)
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リナルドとアルミダ(アルミダの園のリナルド)


(Rinaldo in the Gardens of Armida) 1770年代と推測
72×91cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

ロココ様式最後の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールが手がけた非常に独創的な作品『リナルドとアルミダ(アルミダの園のリナルド)』。本作は16世紀イタリアの著名な詩人トルクァート・タッソが第1回十字軍による聖都エルサレム奪還の戦いを記した傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫の一場面≪若く美しい騎士リナルドを誘惑する魔女アルミダ≫を描いた作品で、このリナルドとアルミダに典拠が得られたオペラが1761年と1767年にパリで上演されており、画家はその上演を見たとも推測されている(フラゴナールは演劇や音楽を大変好んだことが知られている)。画面右側には魔女アルミダに仕えるニンフらに誘われる若く美しい十字軍の騎士リナルドが配され、その視線の先(画面左側)には敵であったリナルドのあまりの美しさに心を奪われ(恋心を抱き)、リナルドを己の宮殿へと連れ帰ろうと画策する魔女アルミダがドラマチックに登場している。魔女アルミダの背後には巨大な樹木が2人を包み、覆い込むように描かれており、この場面の策略的な側面を予感させる。また周囲には数え切れないほど多くのニンフらが魅惑的な仕草で配され、観る者に享楽的で甘美な様子を伝えている。他の代表的な作例と比較し、細部の簡潔な表現や記録的な描写などから油彩習作とも考えられている本作ではあるが、画面から豊潤に醸し出されるロココ的な香りやリナルドとアルミダを始めとした登場人物の演劇的な描写、柔らかく画面全体を包み込んだ温もりを感じさせる光の表現などフラゴナールの独自性が存分に感じられるなど、当時、人気の高い画題であり幾多の画家らによって数多く制作された≪リナルドとアルミダ≫作品の中でも本作は注目すべき作品のひとつである。なおフラゴナールは本作の対画として『魔法の森のリナルド』を制作している。

関連:対画 『魔法の森のリナルド』


【全体図】
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ニンフらに連れられる騎士リナルド。本作は16世紀イタリアの著名な詩人トルクァート・タッソが第1回十字軍による聖都エルサレム奪還の戦いを記した傑作叙事詩≪解放されたエルサレム≫の一場面≪若く美しい騎士リナルドを誘惑する魔女アルミダ≫を描いた作品である。



【ニンフらに連れられる騎士リナルド】
リナルドを迎える魔女アルミダ。画面右側には魔女アルミダに仕えるニンフらに誘われる若く美しい十字軍の騎士リナルドが配され、その視線の先(画面左側)には敵であったリナルドのあまりの美しさに心を奪われ(恋心を抱き)、リナルドを己の宮殿へと連れ帰ろうと画策する魔女アルミダが劇的に登場している。



【リナルドを迎える魔女アルミダ】
柔らかい光に照らされる大樹。画面から豊潤に醸し出されるロココ的な香りやリナルドとアルミダを始めとした登場人物の演劇的な描写、柔らかく画面全体を包み込んだ温もりを感じさせる光の表現などフラゴナールの独自性が存分に感じられる。



【柔らかい光に照らされる大樹】

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