Description of a work (作品の解説)
2009/01/18掲載
Work figure (作品図)
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ミニアチュールを描く自画像


(Fragonard peignant en miniature) 1777年以降と推測
46×38cm | 油彩・画布 | サンフランシスコ美術館

後期ロココ様式を代表する画家ジャン・オノレ・フラゴナールの単身人物画のひとつ『ミニアチュールを描く自画像』。描かれる人物については現在、様々な説が唱えられているものの、一般的にはフラゴナール本人の自画像と推測される本作は、≪ミニアチュール(挿絵・細密画)≫に取り組む画家の姿を主題に制作された作品である。画面のほぼ中央へ真正面から描かれる画家自身(フラゴナール)は視線を手がける作品へと落としながら細密画用の小筆を用いて一心に取り組んでいる様子であるが、その雰囲気はどこか晩年期のような郷愁さえ感じられる。本作が制作されたと定義されている1770年代後半(※現在、制作年代についても諸説唱えられており、更なる研究が期待されている)は新古典主義の台頭によってロココ様式の栄華に陰りが見え始めた時期であり、画家の複雑で不安な心理がそのまま本作へ反映されているかのようでもある。さらに画面右上から対角線的に当てられるスポット的な光の表現は、只管にミニアチュールの制作へ取り組む画家の真摯な態度を強調しており、観る者はそこに何かしろの真実性を見出してしまう。また小作ながら大胆かつ奔放に置かれる大振りの筆触を用いて即興性と瞬間性を見事に表現した筆捌きや、衣服に用いられる赤色と緑色、髪の毛の白色と背景の黒色など抑えられた色数の中でも色彩的対比を計算しながら効果的に配置する色彩の表現性などはフラゴナールの作品の本質を見事に示している。


【全体図】
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一心にミニアチュールへ取り組む画家の姿。描かれる人物については現在、様々な説が唱えられているものの、一般的にはフラゴナール本人の自画像と推測される本作は、≪ミニアチュール(挿絵・細密画)≫に取り組む画家の姿を主題に制作された作品である。



【ミニアチュールへ取り組む画家の姿】
小筆を用いて制作されるミニアチュール。真正面から描かれる画家自身(フラゴナール)は視線を手がける作品へと落としながら細密画用の小筆を用いて一心に取り組んでいる様子であるが、その雰囲気はどこか晩年期のような郷愁さえ感じられる。



【小筆を用いて制作されるミニアチュール】
大胆かつ奔放に置かれる大振りの筆触。画面右上から対角線的に当てられるスポット的な光の表現は、只管にミニアチュールの制作へ取り組む画家の真摯な態度を強調しており、観る者はそこに何かしろの真実性を見出してしまう。



【大胆で奔放に置かれる大振りの筆触】

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