Description of a work (作品の解説)
2007/11/22掲載
Work figure (作品図)
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ぶらんこの絶好のチャンス(ブランコ)


(Hasards heureux de l'escarpolette) 1767年頃
83×65cm | 油彩・画布 | ウォーレス・コレクション(ロンドン)

18世紀フランスに始まったロココ美術における様式後期を代表するジャン・オノレ・フラゴナールの最も知られる傑作『ぶらんこの絶好のチャンス(ブランコ)』。サン=ジュリマン男爵がフラゴナールの友人で同時代の画家ドワイヤンに依頼するも、ドワイヤンからフラゴナールへと注文が廻されたことによってフラゴナールが制作した本作に描かれるのは、美しい森の中でぶらんこに乗る若い娘と、それを押す中年の男、そして若い娘のスカートの中を覗く若い男の姿である。愛や女性(本作では若い娘)の象徴である薔薇が咲く園でスカートの中を覗く若い男は若い娘に好意を寄せているのであろう、左手には脱いだ帽子を手にしている。この脱がれた帽子と若い娘の足から脱げる靴には道徳や宗教的教義から開放された性的な意味が含まれている(ぶらんこの浮遊感もそれを意味するとの説もある)。また若い男の頭上には口元に指を立てるキューピッド(エロス)の石像が、少女の背後(下部)には驚き戸惑う二体のキューピッド(エロス)の石像が描かれている。一方、ぶらんこを操る男には中年の男が描かれており、当初は依頼主の要望で司教が描かれる予定であったが、画家は(おそらく若い娘の夫として)中年の男に変更して描いた。このようなやや軽薄で不道徳ではあるが、優雅かつ軽やかなロココ様式の中に、自由な恋愛を謳歌する当時の男女の世界観の表現した作品は画家の真骨頂であり、中でも本作はその最たる作品として知られている。また登場人物によって三角形が形成される安定的な構図や画面構築(中央の石像も三角形である)、木々の間から射し込むスポット的な陽光の表現と深い深緑による陰影の描写、美麗で華やかな色彩表現など一枚の絵画としての完成度も非常に高い本作は、当時から版画に刷られ世間に出回るほど好評を得た。


【全体図】
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ぶらんこに乗り、靴が脱げる若い娘。この若い娘の足から脱げる靴と、若い男の脱がれた帽子には道徳や宗教的教義から開放された性的な意味が含まれている(ぶらんこの浮遊感もそれを意味するとの説もある)。



【ぶらんこに乗り、靴が脱げる若い娘】
スカートの中を覗き笑みがこぼれる若い男。愛や女性(本作では若い娘)の象徴である薔薇が咲く園でスカートの中を覗く若い男は若い娘に好意を寄せているのであろう、左手には脱いだ帽子を手にしている。



【スカートを覗き笑みがこぼれる若い男】
ブランコを押す中年の男。当初は依頼主の要望でぶらんこを押す男には司教の姿が描かれる予定であったが、フラゴナールは(おそらく若い娘の夫として)中年の男に変更して描いたことが知られている。



【ブランコを押す中年の男】
口元に指を立てるキューピッド(エロス)の石像。このようなやや軽薄で不道徳ではあるが、優雅かつ軽やかなロココ様式の中に、自由な恋愛を謳歌する当時の男女の世界観の表現した作品は画家の真骨頂であり、中でも本作はその最たる作品として知られている。



【口元に指を立てるキューピッドの石像】

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