Description of a work (作品の解説)
2009/06/08掲載
Work figure (作品図)
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ディドロの肖像

 (Portrait de Denis Diderot)
1765-72年頃 | 80×64cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館

18世紀後期ロココ様式最後の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールの典型的な肖像画作品のひとつ『ディドロの肖像』。本作は18世紀フランスを代表する知識人であり、思想・哲学家や作家、美術批評家としても名高い≪ドゥニ・ディドロ≫を描いた肖像画作品である。ディドロ自身はフラゴナールや画家が制作する作品に対して、サロン出品当初は大いに期待を寄せていたものの、数年後にはフラゴナールの軽快で独特な表現やロココの風潮に準じた作風を酷評するなど友好的関係には無かったが、それでも本作に描かれるディドロの姿は、美に対して確固たる信念と揺るぎない思想を抱いていた同氏の強き意思と情熱が良く表されている。画面中央に描かれるドゥニ・ディドロはやや後方を振り向くような姿で描き込まれており、輝きを帯びた光が宿る瞳と視線にはディドロの熱き魂を感じることができる。また右手では書物を捲る動作を見せつつも、何かを指し示す途中とも解釈できる左手の自然的な動きには知に対する躍動感を見出すことができる。さらに表現そのものに目を向けても、(ディドロ自身は「気が抜けた力無き」と酷評をしているが)闊達に動かされる筆跡の質感を効果的に用いて表現される衣服の襞や、大雑把に見えながら繊細に計算された描写にはフラゴナールの特徴が良く表れているほか、画家が他の作品でもしばしば用いている(得意とした)黄色と赤色の対比も見事の一言である。


【全体図】
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揺るぎない意思を感じさせるディドロの視線。本作は18世紀フランスを代表する思想・哲学家であり、作家や美術批評家としても名高い≪ドゥニ・ディドロ≫を描いた肖像画作品で、本作に描かれるディドロの姿は、美に対して確固たる信念と揺るぎない思想を抱いていた同氏の強き意思と情熱が良く表されている。



【揺るぎない意思を感じさせる視線】
黄色と赤色の効果的な対比。ディドロ自身はフラゴナールや画家が制作する作品に対して、サロン出品当初は大いに期待を寄せていたものの、数年後にはフラゴナールの軽快で独特な表現やロココの風潮に準じた作風を酷評するなど友好的関係には無かったとされている。



【黄色と赤色の効果的な対比】
闊達な筆触の質感による独自的表現。画面中央に描かれるドゥニ・ディドロはやや後方を振り向くような姿で描き込まれており、輝きを帯びた光が宿る瞳と視線にはディドロの熱き魂を感じることができる。また右手では書物を捲る動作を見せつつも、何かを指し示す途中とも解釈できる左手の自然的な動きには知に対する躍動感を見出すことができる。



【闊達な筆触の質感による独自的表現】

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