Description of a work (作品の解説)
2009/04/21掲載
Work figure (作品図)
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芸術の寓意:絵画

 (Allegories des arts : Peinture)
1753年頃 | 82×102cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

18世紀後期ロココ様式最後の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナール作『芸術の寓意:絵画』。本作は≪諸芸術≫を画題に、おそらく扉の上を飾る装飾画として制作された4点の連作的寓意像の中の1点で、≪絵画≫を表す作品である。本作は完成後に画家の友人であったジャック=オネジム・ベルジュレによって購入されたことが明らかとなっているが、実際に彼の依頼によって制作され、彼の邸宅に飾られていたかは現在も不明である。また本作の制作年代についても諸説唱えられているものの、表層的な筆致や様式的観点から比較的早い時期、1753年頃に手がけられたとする説が一般的である。画面中央から左側へ配される絵画の寓意は正面に置かれた少女の頭部の石膏像を真剣な眼差しで見つめながらデッサンをおこなっている。絵画の寓意と石膏像の間にはイーゼル(画架)に掛けられたカンバス(画布)が配されており、その中には背を向けた裸婦像を確認することができる。そしてこれら主要な構成物の周囲には≪絵画≫を象徴する絵筆やパレット(調色板)、ケースなどが配されており、観る者は迷うことなく本作に描かれる寓意を理解することができる。本作が他の寓意作品『彫刻』『音楽』『』と決定的に異なるのは、各寓意像が向ける視線にある。『彫刻』『音楽』『』の3作品が、各寓意を象徴する要素へは視線を向けられず、甘美な雰囲気を醸し出しているのに対して、本作の寓意像のみが寓意を象徴する要素へと視線を向けている。この観る者に媚びない真摯な芸術への態度こそフラゴナールの絵画作品の本質であり、それ故に本連作の中では群を抜いて観る者に感動を与えるのである。

関連:『芸術の寓意:彫刻』
関連:『芸術の寓意:音楽』
関連:『芸術の寓意:詩』


【全体図】
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描く対象へと向けられる実直な視線。本作は≪諸芸術≫を画題に、おそらく扉の上を飾る装飾画として制作された4点の連作的寓意像の中の1点で、完成後に画家の友人であったジャック=オネジム・ベルジュレによって購入されたことが明らかとなっているが、実際に彼の依頼によって制作され、彼の邸宅に飾られていたかは現在も不明である。



【描く対象へと向けられる実直な視線】
素早く対象を写す絵筆を握る指の動き。画面中央から左側へ配される絵画の寓意は正面に置かれた少女の頭部の石膏像を真剣な眼差しで見つめながらデッサンをおこなっている。絵画の寓意と石膏像の間には画架に掛けられた画布が配されており、その中には背を向けた裸婦像を確認することができる。



【対象を写す絵筆を握る指の動き】
画布に描かれる背を向けた裸婦の姿。『彫刻』『音楽』『』の3作品が、各寓意を象徴する要素へは視線を向けられず、甘美な雰囲気を醸し出しているのに対して、本作の寓意像のみが寓意を象徴する要素へと視線を向けている。



【画布に描かれる背を向けた裸婦の姿】

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