Description of a work (作品の解説)
2008/10/16掲載
Work figure (作品図)
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愛の泉

 (La Fontane D'Amour) 1780-84年頃
64×56cm | 油彩・画布 | ウォーレス・コレクション

18世紀フランスの画家ジャン・オノレ・フラゴナール晩年期を代表する作品のひとつ『愛の泉』。本作はフラゴナールが晩年期にしばしば取り組んでいた≪愛≫を画題とした作品の中の1点である。画面中央に花の冠を被った若く美しい一組の男女が寄り添いながら、枯れることの無い泉(永遠の象徴)に駆け寄る姿が活き活きと配され、男の方は愛を司るエロス(アモール)の差し出す黄金の杯に口をつけようとしている。そして画面の最も手前に描かれる若い女は、今がその美しさの最盛期であることを示すかのように明瞭で輝くような光が照らされており、女の瑞々しい肌の質感やしなやかな姿態を鮮明に映し出している。また画面左側の泉の周囲へ無数に配されるエロス(アモール)は、一方では男女の愛を祝福するかのような姿を、一方では無邪気に振舞いながら興味深げに視線を向ける姿など様々な仕草を見せている。まるで神話の一場面を連想させるかのような内容が描かれる本作ではあるが、このような古典に倣わない全く新しい≪愛≫の展開・表現は当時としては非常に斬新であり、古典的展開から逸脱した≪愛≫の主題への取り組みは、その後、台頭してゆくロマン主義を予感させる。また≪愛≫を主題とした作品の性格上、本作はフラゴナールの妻の妹(かつ画家の弟子)であり愛人関係にもあったと推測されているマルグリット・ジェラールとの関連性が予てから指摘されている。


【全体図】
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愛の泉に駆け寄る若い男女。画面中央に花の冠を被った若く美しい一組の男女が寄り添いながら、枯れることの無い泉(永遠の象徴)に駆け寄る姿が活き活きと配され、男の方は愛を司るエロス(アモール)の差し出す黄金の杯に口をつけようとしている。



【愛の泉に駆け寄る若い男女】
若く美しい女の艶やかな姿態。画面の最も手前に描かれる若い女は、今がその美しさの最盛期であることを示すかのように明瞭で輝くような光が照らされており、女の瑞々しい肌の質感やしなやかな姿態を鮮明に映し出している。



【若く美しい女の艶やかな姿態】
黄金の杯を差し出すエロスたち。≪愛≫を主題とした作品の性格上、本作はフラゴナールの妻の妹(かつ画家の弟子)であり愛人関係にもあったと推測されているマルグリット・ジェラールとの関連性が予てから指摘されている。



【黄金の杯を差し出すエロスたち】

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