Description of a work (作品の解説)
2008/11/17掲載
Work figure (作品図)
■ 

鳥風琴(ラ・セリネット)

 (La serinette) 1751年頃
50×43.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランス風俗・静物絵画の大巨匠ジャン・シメオン・シャルダン1750年代初頭の代表作『鳥風琴(ラ・セリネット)』。シャルダンがフランス国王ルイ15世から依頼され制作された初めての作品であり、かつ1751年のサロンの出品作でもある本作は、おそらく画家の2番目の妻フランソワーズ・マルグリット・プージェをモデルに鳥風琴を用いて籠の中の鳥に鳴き声を教える婦人の情景を描いた作品である。鳥風琴(ラ・セリネット)とはクランクと絹糸取り付けられた木箱(鉤の手が回転軸を廻して中の絹糸を鳴らす装置)で、鳴らされる音が鳥の鳴き声に類似している為、飼い鳥に鳴き方を教える道具としてしばしば使用されていた。本作でも画面中央に描かれる美しく透けた軽やかな白い外衣を羽織った婦人(フランソワーズ・マルグリット・プージェ)が、鳥風琴の鉤の手を廻しながら鳥篭の中の小鳥へと視線を向けている。音が鳴っている場面であるにも関わらず画面には静謐感とある種の緊張感が漂っており、観る者を不思議と惹きつける。また柔らかい光の表現や品の良い風俗的展開、繊細に描き込まれた対象の描写や色彩表現などは秀逸の出来栄えであり、シャルダンが17世紀オランダ絵画黄金期の作品を参考にしていたことをうかがい知ることができる。またそれと同時に後の19世紀初頭のフランス・ロマン派的な展開を予感させていることも特に注目すべき点である。なお本作には2点のヴァリアント(個人所蔵・フリック・コレクション)が存在していることが知られている。


【全体図】
拡大表示
籠の中の小鳥へと視線を向ける婦人。シャルダンがフランス国王ルイ15世から依頼され制作された初めての作品であり、かつ1751年のサロンの出品作でもある本作は、鳥風琴を用いて籠の中の鳥に鳴き声を教える婦人の情景を描いた作品である。



【籠の中の小鳥へと視線を向ける婦人】
鍵の手が付いた鳥風琴(ラ・セリネット)。本作でも画面中央に描かれる美しく透けた軽やかな白い外衣を羽織った婦人(フランソワーズ・マルグリット・プージェ)が、鳥風琴の鉤の手を廻しながら鳥篭の中の小鳥へと視線を向けている。



【鍵の手が付いた鳥風琴(ラ・セリネット)】
柔らかい光に包まれる籠の中の鳥。柔らかい光の表現や品の良い風俗的展開、繊細に描き込まれた対象の描写や色彩表現などは秀逸の出来栄えであり、シャルダンが17世紀オランダ絵画の作品を参考にしていたことをうかがい知ることができる。



【柔らかい光に包まれる籠の中の鳥】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ