Description of a work (作品の解説)
2009/03/25掲載
Work figure (作品図)
■ 

朝の身支度(朝の化粧)

 1740-41年頃
(La toilette du matin (dit aussi le Négligé))
49×39cm | 油彩・画布 | ストックホルム国立美術館

18世紀フランス絵画の偉大なる巨匠ジャン・シメオン・シャルダンの典型的な日常画作品のひとつ『朝の身支度(朝の化粧)』。駐仏スウェーデン大使テッシン伯爵の依頼により制作され、1741年のサロンへ出品された作品である本作は、我が子であろう幼い子供の身支度をおこなう母親の冬の朝における情景を描いた作品で、別名『ネグリジェ(部屋着)』とも呼ばれている。画面中央にほぼ二等辺三角形の構図で鏡の置かれた燭台の方を向く幼い子供と、子供の頭巾を整える母親が配されており、盛装ではないものの、程好く流行を取り入れた品の良い冬用の服装から、この母子がこれから(おそらくは教会へ)外出するのであろうことは容易に想像できる。画面左側に配される、見るからに質の高い銀の燭台や鏡は画面の中に華やかな雰囲気を与えているが、火が消え煙の立つ蝋燭には現在の富(銀の燭台)や美しさ(愛らしい子供の姿を映す鏡)に対する虚栄(ヴァニタス)も見出すことができる。さらに画面右側に置かれる象眼細工が施された7時数分前を指す時計には、身支度を急がねばならない母親の事情と、この幸福な日常(又は母親の愛情)の儚さという2通りの解釈をすることが可能である。本作の表現手法に注目しても、各構成要素を絶妙に配置することで画面全体を的確に引き締めながら、豊かな雰囲気や場面の描写も同時におこなうシャルダンの極めて高度で洗練された画面展開や構想、そして18世紀当時の貴族社会の日常の典型像を見事に描き出す観察的表現に、画家の日常画における真髄を感じることができる。


【全体図】
拡大表示
鏡に映る自身の姿に魅入る子供。駐仏スウェーデン大使テッシン伯爵の依頼により制作され、1741年のサロンへ出品された作品である本作は、我が子であろう幼い子供の身支度をおこなう母親の冬の朝における情景を描いた作品で、別名『ネグリジェ(部屋着)』とも呼ばれている。



【鏡に映る自身の姿に魅入る子供】
子供の身なりを整える母親の姿。画面中央にほぼ二等辺三角形の構図で鏡の置かれた燭台の方を向く幼い子供と、子供の頭巾を整える母親が配されており、盛装ではないものの、程好く流行を取り入れた品の良い冬用の服装から、この母子がこれから教会へ外出するのであろうことは容易に想像できる。



【子供の身なりを整える母親の姿】
虚栄(ヴァニタス)も見出すこともできる銀の燭台。各構成要素を絶妙に配置することで画面全体を的確に引き締めながら、豊かな雰囲気や場面の描写も同時におこなうシャルダンの極めて高度で洗練された画面展開や構想を見出すことができる。



【虚栄も見出すこともできる銀の燭台】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ